1997 Fiscal Year Annual Research Report
心筋における電気的膜穿孔による電流誘発に関する研究
Project/Area Number |
09877012
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大地 陸男 順天堂大学, 医学部, 教授 (10049025)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立山 充博 順天堂大学, 医学部, 助手 (30276472)
|
Keywords | 心筋 / エレクトロポレーション / 電気的穿孔 / K^+濃度 / 過分極 / 脱分極 / La^<3+> |
Research Abstract |
心筋細胞膜に膜電位依存性に膜の電気的穿孔が発生することを電気生理学的に明らかにすることが本研究の目的であった。実験はウサギ単離心室筋を電流固定、または電圧固定でホールセルクランプして行われた。結果は: 1.電流固定で細胞外K^+濃度を正常の5.4から2.7、1、0.3、0.1mMに順次減少すると過分極が生じた。静止電位は5.4mMでの-75.6±0.3mVから0.1mMでは-140.3±1.9mV(n=127)となり、過分極した電位より-19.5±1.5mVの不規則な脱分極が発生した。この脱分極は56.7%で活動電位を自発的に発生させた。 2.0.1mMLa^<3+>の0.1mMK^+溶液への添加は脱分極を減少し、活動電位発生を抑制し、過分極を増大した。 3.細胞外液のNa^+またはCl^-をNMDGまたはaspartateで置換したり、細胞内に10mM EGTAを適用しても、同様に0.1mMK^+によって過分極、脱分極、活動電位が発生した。 4.電圧固定で膜電位を-130-170mVに過分極すると電位依存性に10-1000pAの不規則な内向き電流を生じた。この電流はLa^<3+>で抑制された。 これらの結果は膜電位の過分極で電気的穿孔が発生することを示唆する。電流と電圧の関係から正常の-80mの静止電位でも小さな電気的穿孔電流が発生している可能性がある。正常のK^+濃度ではこれによる電位変化は無視しうるが希には不整脈を発生する可能性がある。またこれによるCa^<2+>の流入が細胞内Ca^<2+>に影響しうる。さらに、膜脂質の異常時にはこの電流が増大して心筋の機能により大きな影響をもたらしうる。以上の内容の論文を投稿中である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 大地陸男: "心筋の活動電位,ペースメーカー電位およびQT延長のイオン" 順天堂医学. 42. 429 (1997)
-
[Publications] 立山 充博: "Ca^<2+>チャネルの構造と機能" 神経進歩. 42・2 (印刷中). (1998)
-
[Publications] 大地 陸男: "イオンチャネル,電気信号を作る分子,曽我部正博編,共立出版" 心臓・血管系のチャネル-循環の調節機構, 162 (1997)