1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09877023
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤田 博美 東北大学, 医学部, 助教授 (60142931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古山 和道 東北大学, 医学部, 助手 (80280874)
永井 正 東北大学, 医学部, 助手 (40237483)
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Keywords | ハム / ハーダー氏腺 / 組織特異性 |
Research Abstract |
これまで、体内で合成されるヘムは造血組織におけるヘモグロビンおよび肝臓におけるシトクロームP-450の補欠分子族としての機能を中心に理解されており、またヘム合成調節はヘモグロビン合成とシトクロームP-450合成に対する合目的性から考えられることが多かった(Fujita,1997)。ところが、このような現在の生物における主たるヘムの機能からの理解では、本来生命進化においてヘムが担ってきた役割や、その異常がどのような生命科学的意義を持つのかについて、明らかにし難いのではないかと考えられる。実際、我々はハーダー氏腺において、肝臓とは全く異なる一般型ヘム代謝調節が行われている、ということを明らかにしている(Nagai et al.,1997)。 そこで、本研究ではヘム本来の機能と調節機構及びその異常がどの様な病態科学的意義を持つのかを探る目的で、正常な筋細胞、胎生期、老化促進マウス及びガンラットにおける解析を進めている。その結果、正常な胎生期において進化の上で造血組織に先行すると考えられるヘム代謝調節が存在すること、胎盤の成立後においては初期はヘム分解優位、後期にはヘム合成優位の調節が行われていること、筋細胞分化においては一般型のヘム合成があたかも赤血球分化における赤血球型のヘム合成と同様に調節されることが明らかとなった。これら一連の結果は、造血系という特殊な目的を持った組織の成立過程を考察する上で重要な成果であると考えてられる。 一方、病態と関わると考えられる老化促進マウスにおいては、酸化ストレス状態を反映するようなヘム代謝の調節が行われており、ガンラットにおいてはグルクロン酸抱合不全に応じるようにヘム代謝系が変化していることが示されている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Nagai, T.Nagai, M.Yamamoto et al.: "Novel regulation of heme synthesis in the rat Haederian gland." Biochem.Pharmacol.53. 643-650 (1997)
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[Publications] H.Fujita: "Molecular regulation of heme biosynthesis." Tohoku J.Exp.Med.183. 83-99 (1997)
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[Publications] 藤田 博美他: "環境と健康(II)" へるす出版, 310 (1998)