1997 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚光線角化症と大腸腺腫をモデルとする前癌病変の間期染色体解析
Project/Area Number |
09877039
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
栄本 忠昭 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (60140779)
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Keywords | 前癌病変 / 大腸腺腫. / 皮膚光線角化症 / 間期染色体解析 / FISH法 / NISH法 / 染色体転座 / キメラ遺伝子 |
Research Abstract |
本年度は,間期染色体解析法の改良に努めた.すなわち,近年,免疫組織化学的染色に使われるようになったtyramide法をin situ hybridization (ISH)に応用可能とした.この研究は軟部組織の滑膜肉腫を対象として,染色体転座によるキメラ遺伝子(SYT/SSX)の簡便な同定法開発の一環として行った. まず,細胞診スタンプ標本からRNAを抽出してRT-PCR法でSYT/SSX遺伝子を検索したところ,8例中7例に陽性という高い陽性率が得られた.これらの症例のパラフィン・ブロックから腫瘍細胞を採取し,18番とX染色体のalpha satellite DNAプローブとtotal DNAプローブを使用してfluorescent ISH(FISH)法を行った.従来のFISH法では前者のプローブで標識できたのが1例のみで,後者のプローブによるt(18;X)の検索に関しては全例でnot evaluableであった.しかし,蛍光標識したtyramideを用いたFISH法ではt(18;X)が3例に,また,alpha satellite DNAは6例でevaluateできた.現在,さらに症例数を増すと共に,パラフィン・ブロック標本からの検出率を向上させるための工夫を続けている. 大腸腺腫に関しては,adenocarcinoma in adenomaの症例を蒐集し,alpha satellite DNAプローブを用いたtyramide法によるnonisotopic ISH(NISH)の解析を進めている.これまでに,7番染色体のtrisomyと18番染色体のmonosomyが腺腫で出現し,腺癌でさらに顕著になることを確認し,1番,8番,X染色体についても検索中である.大腸腺腫,腺癌では腫瘍細胞の核の重なりが陽性シグナルのカウントを妨げるので,画像処理による効率的で客観的な定量法を工夫している.また,標本の固定法がNISHに及ぼす影響について検討中である. 皮膚光線角化症については種々の異型度の病変を蒐集中である.3,9,13,17番染色体のalpha satelliteプローブも準備した.本病変は核の重なりに乏しいので,カウントはより容易であろう.
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