1997 Fiscal Year Annual Research Report
CD4陽性T細胞はどのようにウイルス感染細胞を排除するか
Project/Area Number |
09877052
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
丹羽 淳子 近畿大学, 医学部, 助手 (60122082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮澤 正顕 近畿大学, 医学部, 教授 (60167757)
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Keywords | CD4陽性T細胞 / CD8陽性T細胞 / 感染防御 / ペプチドワクチン / 単一エピトープ / フレンド白血病レトロウイルス / マウス / 赤白血病 |
Research Abstract |
単一エピトープ特異的なCD4陽性Tリンパ球がウイルス感染細胞を排除する機構を明らかにするため、フレンド白血病レトロウイルスによって誘発される赤白血病の実験系を用いて下記の実験を行なった。 1.CD4陽性T細胞認識エピトープワクチン免疫マウス体内における.ウイルス感染細胞排除に関わる効果細胞の同定:CB6F、マウスを単一のヘルパーT細胞認識エピトープを含む合成ペプチドで免疫後、抗体投与によりCD4又はCD8用精細胞を完全に除去した。その後ウイルスを接種して、無免疫の対象群がすべて死亡するまで白血病の発症経過(脾腫の発症、白血病死の経過およびウイルス中和抗体の産生)を観察した。対照のラットIgGを投与したペプチド免疫マウスが生存を続けたのに対し、CD8陽性細胞除去群では免疫効果がうち消され、無免疫対象群と同じ時間経過でほぼ全ての個体が白血病死した。またCD4陽性細胞除去群では無免疫群より更に速い白血病死がおこったことより、免疫効果発現にはCD4陽性、CD8陽性両細胞群が必要であることが示唆された。またIgGクラスのウイルス中和抗体産生はCD8陽性細胞除去群でも確認され、中和抗体単独では白血病死を阻止できないことがわかった。一方CD4陽性細胞除去群では、ウイルス中和抗体はIgM、IgGともに検出限界以下で、中和抗体産生にCD4陽性T細胞の存在が必須であることがわかった。 2.効果細胞の移入実験:今年度購入の磁気細胞分手装置を用いて、ペプチド免疫マウスの脾臓からCD4又はCD8陽性細胞を97%以上の純度で分取した。直ちに細胞を無免疫の感染マウスへ静注移入し、発症経過を観察した。その結果、無免疫マウスがウイルス感染によって全例死亡した後も、免疫マウスから感染後7日目のCD8陽性細胞を移入すれば、移入時期が感染後7日目であっても、無免疫マウスの60%が生存を続けた。現在更に効果細胞について検討中である。
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