1998 Fiscal Year Annual Research Report
抗線虫薬研究用動物実験代替法の確立:条件寄生性ラブジチス線虫の寄生条件と生活環
Project/Area Number |
09877054
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
寺田 護 浜松医科大学, 医学部, 教授 (30046297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 民生 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90293620)
石井 明 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (50107801)
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Keywords | Rhabditis pseudoelongata / in vitro増殖 / 条件寄生性線虫 / 動物実験代替in vitroモデル / 抗寄生線虫薬の作用研究 / 分子生物学的・遺伝学的研究 |
Research Abstract |
Rhabditis pseudoelongataは本来自由生活性であるが,患者や動物の糞便から検出されたり,動物での実験感染の報告があり,条件寄生性線虫と考えられた。そこで,本線虫の寄生性を確認する実験を行った。従来感染実験にはウサギ,イヌが使用されているが,野々田(1958)は,マウスに経口的に投与した場合,回盲部に数日間虫体を認めたと報告している。将来の遺伝子レベルでの研究を念頭に置いた場合,遺伝的背景のしっかりした実験動物,特にマウスでの寄生性を確認することが有意義と思われた。まず,小型実験動物のマウス(BALB/cA),ラット(Wistar),ハムスター(Syrian)およびモルモット(Hartley)に,虫卵から成虫を含む培地を投与し,1日及び2日後に腸管内を調べたが,生存虫体は得られず,また腸内容物のin vitroでの10日間培養でも虫体は得られず,正常動物での感染は認められなかった。次に,感染には免疫が大きく関与しているため,SCTDマウスにおける感染の有無を検討した結果でも,生存虫体は得られなかった。さらに,この実験に胃酸分泌抑制薬を併用したが,やはり生存虫休は回収できなかった。本研究で使用した線虫が,野々田や他の研究者が使用した種あるいは株と異なるための結果とも推察される。しかし,本線虫は,すでに抗線虫薬開発のための第一スクリーニングにおいて有用なモデルとなっている。今年度の研究でin vivo実験とともに実施したin vitro継代培養実験で,例えば液体培地の量の違いにより増殖開始に差が見られるなど,興味ある生物学的特性が認められた。次年度以降Caenorhabditis elegansとの分子生物学的・遺伝学的比較を目指し,in vitro培養での生物学的特性を解明できる見込みが得られた。
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