1997 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-I一次構造の“ゆらぎ"は病原性発現を規定するか:一卵性双生児キャリアの分子ウイルス学的解析
Project/Area Number |
09877067
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
片峰 茂 長崎大学, 医学部, 教授 (40161062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝上 明成 長崎大学, 医学部, 助手 (10281205)
夫津木 いづみ 長崎大学, 医学部, 助手 (70284669)
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Keywords | HTLV-I / 一卵性双生児 / HTLV-I 関連脊髄症 / HLA / 塩基配列 |
Research Abstract |
(1)片方のみがHTLV-I関連脊髄症(HAM)を発症した一卵性双生児HTLV-I キャリア両者の末梢血単核球におけるHTLV-Iプロウイルスtax遺伝子の塩基配列およびその多様性を解析した。その結果、一卵性双生児両者に異なる塩基配列を有するウイルスが感染していることが明らかになった。その違いは、塩基レベルで1,050塩基中5塩基,アミノ酸レベルで350残基中3残基であった。両者におけるウイルス遺伝子の一次構造の差がHAM発症の有無を規定した可能性が示唆された。また、感染後に生体内で形成されたと考えられるプロウイルス一次構造の多様性の程度は明らかにHAM例で低いことが明らかとなった。その機序として、HAM例では細胞性免疫が関与する選択圧が低いこと、特定の感染細胞がクローナルに増殖していることの二つの可能性が考えられた。 (2)一卵性双生児HTLV-IキャリアのHLAハプロタイプを決定した。これらのHLAにおけるアンカーモチーフがtax配列中に存在するか否かを現在検討中である。 (3)一卵性双生児のキャリア母親中に存在するHTLV-Iプロウイルスtax遺伝子の塩基配列も解析した。母親には専ら一卵性双生児のHAM例で見い出されるウイルスと相同の一次構造のものが存在することが明らかとなった。この家系においては、HAM由来ウイルスの増殖能がより高いことが示唆された。
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[Publications] Tsukasaki, K.: "Integration patterns of HTLV-I provirus in relation to the clinical course of ATL : trequent clonal change at crisis from indolent disease." Blood. 89. 948-956 (1997)
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[Publications] Katamine, S.: "Maternal transmission of human T-cell lymphotropic virus type I (HTLV-I) and its prevention in an endemic area, Nagasaki, Japan." Alpe Adria Microbiol. J. 6(3). 143-149 (1997)