1998 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫性関節炎を自然発症するマウスモデルの確立とその解析
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09877071
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
坂口 志文 財団法人 東京都老人総合研究所, 免疫病理部門, 研究室長 (30280770)
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Keywords | 疾患モデル / 慢性関節リウマチ / 自己免疫 / 遺伝子異常 / 関節炎 |
Research Abstract |
我々の維持している正常BALB/cマウスのコロニー中に関節腫張のみられるマウスを発見し、関節炎を自然発症するマウス系統を確立した。現在までに10世代を維持した結果、その遺伝形式は常染色体劣性であり、通常の飼育環境では、その遺伝的浸透率は100%であった。このマウス系統をSPF化したところ、発症頻度が低下し、関節炎発症に何らかの環境因子の関与が示唆された。この関節炎は、ひとの臥と酷似して、前後肢大小関節が対称的に関節腫張を起こし、病理学的にもパンヌスの出現から関節軟骨、骨の破壊に慢性的に進行する炎症性関節破壊であり、最終的に関節硬直に至る。血中に、高力価のリュウマチ因子、関節に特異的であるII型コラーゲンに対する自己抗体、また高ガンマグロブリン血症が高頻度に出現する点でも、ひとの臥と酷似している。この関節炎は、関節炎発症マウスの牌臓T細胞の移入によって正常BALB/cヌードマウスに養子移入できた。すなわち、この関節炎は自己反応性T細胞によって媒介される自己免疫病である。さらにC57BL/6と交配し、マイクロサテライトマッピングによって原因遺伝子の染色体上の位置を検索したところ単一部位にマッピングできた。現在・野生マウスMus musculus castancusと交配し、N2世代についてより詳細なマッピングを行ない現在原因遺伝子の位置クローニングを目指している。平行して行なっている免疫学的解析においては、関節炎発症マウスの骨髄細胞から成熟T細胞を除去後scidマウスに移入したところ、全例関節炎を発症した。即ちこの関節炎モデルでは、自己反応性T細胞を活性化する原因が関節抗原側ではなく、自己反応性T細胞の側(クローン排除等の制御機構)の異常にある可能性が示唆された。今後、疾患原因遺伝子の同定・解析により関節炎発症の分子的基礎を解明する計画である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Takahashi,T.: "Immunologic self-tolerance maintained by CD25^+4^+ naturally anergic and suppressive T cells : Induction of antoimmure disease by breaking their anergic and suppressire state" Int.Immunology. 10. 1969-1980 (1998)
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[Publications] Itoh,M.: "Thymus and autoimmunity : Production of CD25^+4^+ naturally anergic and suppressive T cells as a key function of the thymus in maintaing self-tolerance" J.Immunology. (印刷中). (1999)
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[Publications] Morse,S.S.: "Virus and autoimmunity : Induction of autoimmune disease in mice by mouse T lymphotropic virus(MTLV) distraying CD4^4 T cells." J.Immunology. (印刷中). (1999)
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[Publications] 坂口志文: "リウマチ様関節炎自然発症モデル" Molecular Medicine免疫1997-98. 臨時増刊. 214-221 (1997)
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[Publications] Sakaguchi,S.: "Breaking immunologic Tolerance to Tumor Cells as a Novel Immuns therapy for Cancer" The Keio J of Medicine. 48Sup. A7 (1999)