1997 Fiscal Year Annual Research Report
重度発達障害児と高齢障害者の水中活動に伴う動脈血酸素飽和度と心拍数の経年的変化
Project/Area Number |
09877080
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
奈良 勲 広島大学, 医学部, 教授 (00126608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 昌彦 広島大学, 医学部, 助手 (70263689)
河村 光俊 広島大学, 医学部, 助教授 (80143923)
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Keywords | 重度脳性麻痺 / 成人脳血管障害後遺症 / 心拍数 / ハロウィック法 / 水中活動 / 健康増進 |
Research Abstract |
ハロウィック法による水泳教室に参加している重度脳性麻痺者と成人脳血管障害後遺症の水中活動に伴う心拍数の変動をポラール社製ハートレイトモニターを使用して測定した。今回の研究は水中活動が重度障害者と成人片麻痺患者に与える影響を心拍数を指標として、経時的に捉えようとするものであり、3期に分けて測定を計画した。第1期を平成9年9月から同年12月とし、第2期を平成10年5月から8月、第3期を平成10年9月から12月とした。第1期では脳性麻痺4名,成人脳血管障害後遺症2名を測定した。重度脳性麻痺者(女性、21才)においては9回の測定における水中活動中の平均心拍数は109から131bpm/minであり、20.8〜42.6%VO_2に相当した。安静時心拍数と比較すると6〜67bpm/minの増加が確認された。これらの心拍数の軽度な増加は健康を維持、増進に適当とされている60%VO2を下回ったが、連続16時間の心拍数変動では水中活動が最も高い心拍数を示した。このことは普段、臥位生活を中心とし極端に自発的運動の少ない重度機能障害者であっても水の特性を利用した運動は長期的に健康維持、増進に貢献できると考えられた。また、成人脳血管障害後遺症の左片麻痺患者(男性、65才)では8回の測定における水中活動の平均心拍数は115〜132bpm/minで推定最大酸素摂取量で23.1〜66.7%VO2に相当した。特に本症例では背泳、クロールが可能となり、意欲的に取り組むため過度な負荷となっているデータが散見された。高血圧や糖尿病などを合併している場合、水中活動における心拍数モニターは不可欠であり、症例に適合した水中活動のプログラムを計画する上で基礎情報となり、運動強度の強弱を組み合わせて過負荷を予防すると考えられた。今後第2、3期に同一症例に対して適切な運動量とそれに伴う心拍数、血圧などの変化を計測してゆく。
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