1998 Fiscal Year Annual Research Report
重度発達障害児と高齢障害者の水中活動に伴う動脈血酸素飽和度と心拍数の経年的変化
Project/Area Number |
09877080
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
奈良 勲 広島大学, 医学部, 教授 (00126608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 昌彦 広島大学, 医学部, 助手 (70263689)
河村 光俊 広島大学, 医学部, 助教授 (80143923)
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Keywords | 重症心身障害者 / 水中活動 / 心拍数 / 高齢障害者 / 血流速度 |
Research Abstract |
平成9年度において重症心身障害児者(重症児者)の一日の生活の中で水中活動中の心拍数が最も高まっており,普段,全身活動が著しく低下している重症児者とって水中活動が心肺機能の維持を図る上で簡便で有効であることが示唆された。脳性まひ児において両まひ児では水中活動後の心拍数増加は認められたが最大酸素摂取量の80%を越えなかった。このことは体力を増強してゆくほどの運動負荷ではなかったが,水中活動プログラムの持つ特性の一つである集団プログラムへの参加,親やヘルパーとの皮膚接触を通した遊びなど精神面でのプラス要因が存在したと言える。また,脳卒中後遺症の高齢障害者の水中活動では陸上の活動に比較して最大酸素摂取量の80%を越える活動が見られ,高血圧症を伴う高齢者に対しては注意深い観察が必要であったが,運動強度としては短時間の強運動と弱運動の繰り返しのため,疲労が蓄積されることはなかった。平成10年度において脳性まひ児と脳卒中後遺症の高齢障害者の水中活動に伴う下肢の足背動脈の血流速度の変化に着目して研究を進めた。その結果,脳性まひ痙直型両麻痺児では過緊張によると思われた血流速度の低下が水中活動後に認められた症例が存在したが,ほぼ血流速度は増加傾向を示したが有意な変化ではなかった。また,高齢障害者では全例において水中活動後の下肢血流速度は有意な増加していたが,患側の血流速度は健側に比べて低い傾向を示した。これらの結果より,水中活動は安全に障害児者の健康増進の手段として有用であると言える。今後もさらに研究対象を成人病,成人病予備群へと拡大してゆく予定である。
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