1997 Fiscal Year Annual Research Report
Cobra venom factorで誘発される急性肺障害の分子病態と遺伝子治療
Project/Area Number |
09877116
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
関口 守衛 信州大学, 医学部・第1内科, 教授 (70075232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢崎 善一 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (50283263)
堀江 史朗 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (40283262)
磯部 光章 信州大学, 医学部・第1内科, 助教授 (80176263)
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Keywords | 接着分子 / 肺障害 / CVF / LFA-1 / E-セレクチン / ARDS / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
本年度は、まずCVFによる肺障害のモデル作成を試みた。C3H/He雄性マウスにCVF (cobra venom factor)1Uを尾静脈より静注した(n=8)。1時間後に肺を摘出した。病勢の判定は、肺myeloperoxidase (MPO)測定、肺湿乾重量比、bronchoalveolar lavage fluid (BALF)中のアルブミン含量、BALF中の好中球数、Evans blueの肺内含量、により定量的に、組織学的検索(HE染色)により半定量的に行った。接着分子、特にselectinの役割について検討するため、今回E-selectinとLFA-1に対するモノクローナル抗体をCVF静注直前に投与して肺障害の程度についてその効果を検討した(n=8)。 RT-PCR法で検出したE-selectinのmRNAの発現は正常マウス肺では認められなかったが、CVF投与マウス肺で確認された。抗E-selectin抗体または抗LFA-1抗体で治療したマウスではBALFのアルブミン濃度比(無治療マウスとの比)は抗E-セレクチン抗体治療群で55%、抗LFA-1抗体治療群で60%、好中球分画比は同様に73%と70%、肺のmyeloperoxidase活性比は60%、49%と無治療群に比して優位に抑制されていた。(p<0.05)。病理学的にも抗E-セレクチン、抗LFA-1抗体治療の両群では、肺胞腔内の出血や好中球の浸潤が抑制されていた。これまでの検討で、CVF 1Uの静脈投与で1時間後にARDS様の肺障害が作成できること、またE-selectinやLFA-1に対する抗体を用いてこの肺障害が抑制でいることが明らかにされた。
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