1997 Fiscal Year Annual Research Report
燃え尽き症候群としての不登校病態把握・治療・予防と体内時計に関する遺伝子の解析
Project/Area Number |
09877146
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
三池 輝久 熊本大学, 医学部, 教授 (90040617)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友田 明美 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (80244135)
|
Keywords | 不登校状態 / 体内時計 / 生体リズム / メラトニン / 睡眠障害 / 深部体温リズム / 概日リズム |
Research Abstract |
私たちは不登校状態にある学生生徒700名以上を診察しており彼らの中核症状が、集中力、思考力・判断力、持久力の低下にあることを観察してきた。彼らは一様に疲れ果てており、少しも自分の思うような働きをしてくれない身体と頭を抱え不安と焦りと自暴自棄的な思いで毎日を過ごしている。このような中枢神経の疲労状態をこれまで医学生理学的に検討した研究が見られないのは不登校が未だに怠けとして捕らえられているからにほかならない。今回私たちは彼らの脳内の時計「体内時計」に狂いが生じており、睡眠と覚醒リズム、深部体温リズム、ホルモンの日内分泌リズムに狂いが生じており時差ぼけ状態のような生体リズムの混乱を示すことを明らかにした。彼らの70〜80%は睡眠覚醒リズムの異常を伴っており、30%程度が朝の気分不良を示す。気分の悪さのほとんどは自律神経症状であり、実際にレーザードップラー、SSR、R-R間隔解析により彼らのほぼ全員に自律神経機能障害を確認することができた。更に深部体温リズム検査では、1)最低と最高体温の温度差が非常に小さく、睡眠時の体温低下が悪く、また最低体温の出現時間がずれていることがわかった。この状態は睡眠中の脳神経細胞の休養が十分に取れていないことを表しており彼らに中枢性の疲労が慢性的に存在することを明らかにした。更にホルモン(コルチゾール、βーエンドルフィン、メラトニン)の日内分泌を測定では分泌時間が大幅に遅れるなどリズム障害が存在している。このように彼らに認められる睡眠障害、体温調節障害およびホルモン分泌障害は時差ぼけ状態における医学生理学的状態に一致する。この生体リズム障害を基盤とする学生たちの不登校状態をメラトニンを用いて治療しており効果を上げている。今後更に分子遺伝学的立場から、画像解析的立場から研究を進める
|
-
[Publications] A Tomoda: "Disturbed circadian core body temperature rhythm and sleep disturbance in school refusal children adn adolescents." Biol Pshychiatry. 41. 810-813 (1997)
-
[Publications] T Iwatani: "Glucoregulatory disorders in school-refusal students." Clin Endocrinol. 47. 273-278 (1997)