1999 Fiscal Year Annual Research Report
燃え尽き症候群としての不登校病態把握・治療・予防と体内時計に関する遺伝子の解析
Project/Area Number |
09877146
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
三池 輝久 熊本大学, 医学部, 教授 (90040617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友田 明美 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (80244135)
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Keywords | 不登校状態 / 慢性疲労症候群 / 生体リズム / 睡眠障害 / メラトニン / 深部体温 / キセノンCT / 概日リズム |
Research Abstract |
日本の学生たちに認められる不登校状態は成人の慢性疲労症候群に極めて類似した臨床的特徴を持っている。私たちはこれまでの基礎的な研究により不登校状態においては以下のような医学生理学的問題が背景に存在することを確認してきた。即ち1)自律神経機能異常、2)糖代謝異常、3)睡眠覚醒リズム、深部体温リズム、ホルモン分泌日内リズムの異常などの生体リズム障害、4)脳機能の全般的低下が認められる。この研究はこの様な病態の一つ一つを解明する事により不登校状態の病態を明らかにし治療法を確立することを目的としたものである。今回これらの問題点の中からまず自律神経機能の状態を把握のためにR-R間隔の解析を行った。患者は9-18歳までの345名、コントロールとして健康な学生50名の協力を得た。結論として不登校状態においては副交感神経構成成分(HFC)が交感神経構成成分(LFC)に比して有意に抑制されていることが明らかになった。つまり疲労回復の機能が低下による疲労の蓄積が起こっていることが考えられるのである。また脳機能低下の指標として認知力低下が上げられるためP300について検討したところ、タイプ1:潜時延長を示すグループ、タイプ2:non-targetにも反応を示すグループ、タイプ3:正常反応グループの三つのパターンが観察された。タイプ1は認知力低下、タイプ2は「間違ってはいけない」と言う過緊張の表れと考えられこれまでに報告のない特徴的なものである。更にこれまでに蓄積したキセノンCTを用いた脳血流分布の検討から不登校状態においては左の前頭葉、左右の視床における血流量低下が確認されている。これは脳機能低下状態を反映し学生にとっては情報が入りにくい状態を示しており勉強が手に付かないことや成績の低下、怠けと考えられてきた怠堕な生活状態を説明する事が出来ると考えられる。
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[Publications] A Tomoda: "Effect of long-term melation administration on school-phobic children and adolescents with sleep disturbances"Current Therapeutic Research. 60(11). 607-612 (1999)
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[Publications] A. Tomoda: "Chronic fatigue syndrome in childhood"Brain Dev. 22 (in press). (2000)