1997 Fiscal Year Annual Research Report
不分離染色体の起源はミトコンドリアDNA多型のへだたりに起因するか
Project/Area Number |
09877155
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
古賀 敦子 久留米大学, 医学部, 助手 (00140707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 靖敏 久留米大学, 医学部, 講師 (00225400)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / 点変異 / 染色体異常 |
Research Abstract |
Down症候群を代表とする染色体不分離に起因する染色体異常症では、母親の加齢に伴ってトリソミ-が増加する。このことは、染色体不分離が卵子形成過程で高頻度に生じていることを示している。現在までの染色体不分離に関する説は、1)成熟分裂期染色体の早期分離説、2)紡錘糸の形成不全あるいは退行変性説などが存在する。しかし、明らかなリスクファクターとしての加齢現象を直接説明出来るものではない。我々は、卵子形成期の染色体分離過程に必要なエネルギーの供給不全が本病態の本質と位置づけ本研究を計画した。ミトコンドリアは、真核生物のエネルギー産生の中核であり、固有のDNA(ミトコンドリアDNA)を有している。ミトコンドリアDNAは、ヒストンなどの保護蛋白には裏打ちされず、また、γDNAポリメラーゼをそのDNA複製に利用するため、核DNAと異り変異が早い。ミトコンドリアDNA異常症の研究を続けていくなかで、ミトコンドリアDNAは、一個体でも加齢とともに変異を起し、その変異の蓄積が加齢に伴いエネルギー不全状態を来していること症例がが存在する。このことから、染色体不分離を来す個体には、ミトコンドリアDNAの特別の多型を遺伝的に持ち、それに加齢現象が負荷されることで、エネルギー不全状態が起りうると推測される。最近、臨床的にミトコンドリア脳筋症を疑われる個体で、染色体不分離による18トリソミ-とDown症を続けて出産されたことより、染色体不分離の成因にエネルギー不全が重要であると考え検索を開始した。現在までにDown症(21トリソミ-)12例、13トリソミ-3例、18トリソミ-4例とその他の染色体異常症(Digeorge症候群3例、Vater association2例、Prader-Willi症候群3例)の患者由来のDNAよりミトコンドリアDNAのセグメントを分離サブクローンし、塩基配列の決定を行っている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Koga,Y,et al.: "MELAS exhibits dominant negative effects on mitochondrial RNA processing." Ann.Neurology. (in press). (1998)
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[Publications] Koga,Y,et al.: "Maple sqrup urine didease:Nutritional management by intravenous hyperalimentation and uneventful course ofter surgical repair of dislocation." J.Inher.Metab Dis.21. (in press). (1998)
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[Publications] Shimizu,T.et al.: "Marinesco-Sjoyren syndrome:can the diagnosis be made prior to cataract formation?" Muscle & Nerve. 32. 909-910 (1997)
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[Publications] Watanabe,Y et al.: "P1148n in fibrillin-1 is not a mutation leading to sp shpnintzen-Goldberg Syndrome." Human Mutation. 10. 326-327 (1997)
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[Publications] Yoshino,M.et al.: "Potential pitfall of prenatal enzymatic diagnosis of carbamoyl-phosphate synthetase I deficiency." J.Inher.Metab.Dis.20. 711-712 (1997)