1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09877167
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠原 邦夫 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10112088)
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Keywords | レーザープラズマX線 / 細胞致死作用 / 超短パルス照射 / コロニー生存率 |
Research Abstract |
本年度は、大阪大学レーザー核融合研究センターGMIIの超短パルスレーザーを金属薄膜に集光して生成するレーザープラズマX線による細胞致死作用の予備実験を行うことができた。概要は以下の通りである。 効果判定には、コロニー形成法を用いた。昨年度はそのために必要な炭酸ガス培養器などの諸設備を整備した。本年度は、マシンタイムの関係で生物(培養細胞)照射実験が予備的に1回行われたのみであったが、初めての実験で興味深いデータを得ることができた。すなわち、細胞を密栓できる小さな試験管状の容器の中に封入し、真空中に保持して、線源から10mm程度の位置に保持して照射を試みた。なお、保持した位置の精度が悪いので、線量評価は、細胞容器の外側に固定したTLD素子を用いて行った。また、培養細胞としては、L5178Y細胞及びそのX線高感受性突然変異株であるM10細胞を用いた。なおX線の場合には大きな違いがある両細胞の感受性の差が、粒子線の場合には非常に小さいことが知られている。 1回の実験結果ではあるが、照射線量が30R(レーザーエネルギー12.8J)のとき、細胞の生存率が、L5178Y、M10ともに非照射細胞の10分の3という値を得た。ちなみに、実験室の通常のX線では、この値が、L5178Yで0.9、M10で0.6である。この結果を見る限りは、パルスX線に対する感受性が高いこと及び、L5178YとM10で感受性に差が見られないことの2点が興味深いが、1回の予備実験であること、実験条件に不備があることなどから、十分に信頼性があるデータとは言い難い。なお、細胞容器を真空中に保持する問題については、容器の条件を整備すれば問題とはならないことを確認済みである。今後は、実験条件を整備して、再現性のある実験を行い、本結果の確認とその意義について検討を深めたいと考えている。
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Research Products
(2 results)