1997 Fiscal Year Annual Research Report
放射線および低酸素刺激による早期応答遺伝子産物の検出に関する研究(がんの遺伝子治療の放射線によるターゲッティングを目的として)
Project/Area Number |
09877174
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笹井 啓資 京都大学, 医学研究科, 講師 (20225858)
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Keywords | 遺伝子治療 / 放射線 / 低酸素刺激 / Fgr-1 / 低酸素応答配列 / VEGF遺伝子 / エリスロボエチソ遺伝子 |
Research Abstract |
本研究では放射線および腫瘍に特異的な低酸素環境を用いたがん遺伝子治療のターゲッティングを将来の目的として、その準備段階として放射線照射および低酸素刺激に対する早期応答遺伝子発現の増強を試みた. 低酸素応答配列Hypoxia-responsive element(HRE)を含むヒトVEGF(vascular endothelial growth factor)遺伝子の上流配列およびEpo(Erythropoietin)遺伝子の下流配列に存在するDNA領域を、合成プライマーを用いてPCR増幅した。これらの断片を取り出し、pGL3promoterに組み込み、ルシフェラーゼレポーターを作成した。各プラスミドを、SCCVII、EMT-6/KU、HT1080、HepG2等の腫瘍細胞にリン酸カルシウム法にて導入した後、6時間の低酸素下にて培養を行い、ルシフェラーゼ活性を測定した。 1.Epo断片を含むpGL3-Epoの発現に関しては、マウスの2細胞株では、明らかな低酸素による誘導は認めなかった。一方、ヒト腫瘍HT1080においては約2倍、HepG2においては約5倍程度の誘導増強を認めた。 2.VEGF断片を含むpGL3-VEGF、pGL3-VEGF/Epoの発現については、使用した全ての細胞において低酸素刺激による明らかな誘導増強を認めた。 3.より大きな低酸素応答遺伝子発現のを達成する目的で、次にVEGF断片のHREにおけるHIF-1結合配列近傍の40塩基のみを分離しそれを直列に5個連結したものを組み込み、またE1b-minimal promoterを挿入したものを作成し、レポーターの誘導活性を検討したところ強い発現をみとめた。 以上、低酸素下での有意な遺伝子発現誘導が確認され、現在Enhancer/promoter領域の改変により、さらに有効性の高いベクターの構築を行っている。 放射線刺激に対する遺伝子の発現に関する研究はEgr-1遺伝子を持つベクターを用いて細胞内に導入したが、血清刺激では応答するものの、放射線刺激には応答せず現在その原因を究明中である。
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[Publications] Sasai,K., Murata,R., et al.: "Radiation therapy for ocular choroidal neovascularization(Phase I/II study):Preliminary report." Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.39(1). 173-178 (1997)
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[Publications] Guo G.Z., Sasai,K., et al.: "Simultaneous evaluation of radiation-induced apoptpsis and micronucei in five cell lines." Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.73(3). 297-302 (1998)
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[Publications] Nagata,Y., Sasai,K., et al.: "Clinical results of radiofrequency hyperthermia for malignant liver tumors." Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.38(2). 359-365 (1997)
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[Publications] Nishimura,Y., Sasai,K., et al.: "External and intraoperative radiotherapy for resectable and unresectable pancreatic cancer:Analysis of survival rates and comlications" Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.39(1). 39-49 (1997)
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[Publications] Shibamoto,Y., Sasai,K., et al.: "Prognosis of intracranial germinoma with syncytiotrophoblastic giant cells treated by radiation therapy." Int.J.Radiat.Oncol.Biol.phys.37(3). 505-510 (1997)
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[Publications] Nakayama,M., Sasai,K., et al.: "Value of low-dose Gallium-67 imaging in detection of non-Hodgkin's lymphoma recurrence." Radiation Medicine. 15(2). 79-83 (1997)