1997 Fiscal Year Annual Research Report
Ob遺伝子産物(レプチン)の細胞内情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
09877199
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
千原 和夫 神戸大学, 医学部, 教授 (00107955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
置村 康彦 神戸大学, 医学部・付属病院, 助手 (30204100)
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Keywords | レプチン / 情報伝達 / STAT-1 / MAPキナーゼ / チロシンリン酸化 |
Research Abstract |
生理的な状態におけるレプチンの細胞内情報伝達機構について調べる目的で、私たちはレプチンに対する細胞内蛋白のチロシンリン酸化を指標にする方法で、各種種培養細胞株をスクリーニングした。数多くの細胞をスクリーニングした結果、幾つかの培養細胞系でレプチンに対する反応性が存在することを見出した。この方法は細胞内情報伝達機構について調べる意味においては、きわめて有用であった。何故なら、一般的に行われていたレプチン受容体の発現の有無によるスクリーニングでは、受容体の存在は確認できても、レプチン受容体にはいくつかのアイソフォームが存在し、細胞内ドメインが短い受容体が存在しても有効なシグナルを伝えられない可能性があることから、必ずしもレプチンに対する反応するとは限らないことが1点と、チロシンリン酸化された蛋白質の分子量が推定可能なことから、どのような細胞内の分子が関与しているのかを同じ手法で検討することが可能であるという点である。実際我々は、ヒト腎癌細胞より樹立されたACHN細胞において、レプチンに対し濃度および時間依存性に数種類の細胞内蛋白のチロシンリン酸化を認め、そのなかにSTAT1が含まれることを報告した。これは再構成系ではなく自然界に存在する培養細胞系におけるレプチンの細胞内情報伝達機構に関する世界で初めての報告である(BBRC;228:859(1996))。またマウス未分化繊維芽細胞由来の10T1/2細胞においては、レプチンによってMAPK依存性に細胞増殖が引き起こされることを明らかにした(JBC;272:12897(1997))。再構成の実験系ではレプチン受容体とMAPKの関連は示唆されたが、自然の状態でのレプチンと細胞増殖および、MAPKの関連を証明した初めての報告となった。
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