1997 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド型人工気管作製のための気管上皮細胞と線維芽細胞の混合立体培養法の確立
Project/Area Number |
09877234
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
井上 肇 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (60193603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 久嗣 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手
島田 厚 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (50226205)
小島 宏司 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (40288155)
長田 博昭 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (90121178)
相原 正記 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (40212352)
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Keywords | 線維芽細胞 / 立体培養 / 人工気管(ハイブリッド) / 気管上皮細胞 |
Research Abstract |
本年度の研究において、移植された人工気管端面にあらかじめ培養されていた線維芽細胞が、移植後、周囲の栄養血管が伸展し血行が再開されるまでの期間の低栄養条件下で生存できるかについて検討した。その結果、線維芽細胞を低細胞密度で培養した時には、低栄養条件のストレスにこの細胞を暴露すると極めて早期(2-4日)に生細胞数が減衰し、低栄養条件10日後に倍地組成を至適な条件に復帰しても再増殖は認められず、全ての細胞が死滅した。これに対し、高細胞密度で線維芽細胞を培養したときには、生細胞数の減少も減少率も低細胞密度で培養したときに比べ極めて低く、10日間の培養後においても約50%程度が生存していた。また10日後に培地組成を至適条件に復帰すると、この残存していた線維芽細胞は、再増殖し2日後には実験開始時の細胞数と密度にまで復帰できた。これらのことから、高濃度で存在することで線維芽細胞はオートクリン、パラクリン機構によって細胞機能を維持し低栄養条件に抵抗していると考えられた(J.Cardiovascular Surg.投稿中)。したがって、移植時に端々吻合部に培養された線維芽細胞の細胞密度が低いときには,移植後の吻合面の細胞増殖を認めないが、高密度で培養したときには、移植後においても明らかに増殖が認められたとする組織化学的研究報告と一致した。 さらに、この培養をフィブリンジェル内で高密度立体培養すると、低栄養条件における生存性は向上し、臓器移植時の立体構造の重要性が確認された。
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