1997 Fiscal Year Annual Research Report
膵ラ島移植および新しい高分子-薬物複合体を応用した膵癌集学的治療
Project/Area Number |
09877235
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
土師 誠二 近畿大学, 医学部・附属病院, 助手 (80288935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大柳 治正 近畿大学, 医学部, 教授 (00030958)
宮本 正章 近畿大学, 医学部, 講師 (50229895)
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Keywords | 膵島移植 / 高分子-薬物複合体 / 膵癌 |
Research Abstract |
薬物の放出制御を調節し,薬物と高分子物質の複合化技術を進めるため,特にインプラント型のDrug delivery system(DDS)により,注射などにより液状で直接注入可能で,人間の体温に応答して固形化することで,生体に最小限の侵襲で効率良く,癌組織を中心に薬物が浸透する新しいDDSを開発することを目的とする。 担体としてN-イソプロピルアクリルアミド(NIP AAm)とコモノマーをテトラヒドロフラン(THF)溶媒中,重合開始剤(AIBN)を加え60℃の恒温状態で15時間重合し,冷却後ジエチルエーテル内で析出することによりラジカル共重合のポリマーとをコモノマーの種類及び組成を変化させて合成した。そして,そのLower critical soluttion temperature(LCST)を測定し,それぞれの共重合体の50w/v%の水溶液(ゾル)に5-Fluorouracil(5-FU)を混合し,これを試験管内にて37℃でゲル化させた。このDDS試料を生食に浸漬し、分光法を用いてin vitroにおける薬物の放出挙動を測定し検討した。 NIP AAmに対してコモノマーの仕込み組成が大きくなるに従って,LCSTが著しく変化し,それぞれ特有のLCSTを持つことが観察された(Fig.1)。また,NIP AAmに対し10mol%のアクリルアミド(AAM),メチルメタクリレート(MMA),グリシジルメタクリレート(GMA)をコモノマーとして用いた場合,AAm,MMA,GMAの順で放出が抑制された。さらに、グリシジルメタクリレートについて仕込み組成を変えた共重合体を担体に用いて検討を行ったところ,GMAの組成が増加するに従い薬物放出が制御された。これらの傾向は,LCSTの下降に伴っており,コモノマーの親水性の影響であると考えられる。 以上の結果より,NIP AAmに対するコモノマーの種類,仕込み組成を変化させることにより長期にわたる薬物放出制御が可能であり,様々な薬物を安定に複合し,かつ放出可能であることが判明した。また,in vivoへの応用にはLCSTが体温より充分に低く,放出量を抑制出来るGMAの組成10mol%のポリマーの選択が最良と考えられた。現在,in vivoにおいて,腫瘍体積1cm^3当たり7mgのd-FUハ含有DDSを用いて抗腫瘍効果を検討中である。
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