1997 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌発生過程における細胞不死化の分子生物学的機構
Project/Area Number |
09877242
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武藤 泰彦 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (30272561)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名川 弘一 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (80228064)
瀬戸 泰之 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00260498)
富永 治 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10261976)
|
Keywords | アポトーシス / p53 / Bcl-2 / テロメラーゼ / 大腸癌 |
Research Abstract |
大腸癌細胞株、大腸癌切除標本においてアポトーシス誘導因子(p53,Fas,C-myc)、アポトーシス調節因子(Bax,Bcl-2,Bcl-Xs,Bcl-X_L)、アポトーシス実行因子(ICE,CPP32,ICH1_L)の発現を解析した。Bcl-2、p53の発現は、大腸癌細胞株のそれぞれ約20%と約80%に認められた。Bax、Bcl-X_L、Bcl-Xs、Bak、Badの発現は、ほとんど全ての細胞株で認められたが、その発現量には細胞株の間で相違が認められた。p53、Bcl-2、Baxの発現の間に明らかな相関は認められなかった。大腸癌切除標本におけるBcl-2とBcl-X_Lの発現の解析から、正常粘膜に比較して腫瘍ではBcl-X_Lの発現上昇、Bcl-2の発現低下が認められた。ほとんど全ての正常粘膜、大腸癌において、ICE,CPP32,ICH1_Lの発現がみとめられた。 大腸癌細胞株において、化学療法剤5-FUを用いてApoptosisを誘導したところ、5-FUに対する感受性にはp53-dependentなApoptosisが関与していることが示唆された。さらに、直腸癌に対する放射線療法感受性とp53、Bcl-2、p21の発現の相関を検討し、p53(+)/p21(-)の腫瘍は放射線療法に対して抵抗性を示し、p53(-)/p21(+)の腫瘍は放射線療法に対して良好な感受性を示すことが明らかになった。Bcl-2の発現と放射線療法感受性には明かな相関は認められなかった。化学療法、放射線療法が誘導するApoptosisには、p53ばかりでなくp21も重要であると考えられる。現在、TRAP(Telomeric Repeat Amplification Protocol)法を用いて、テロメラーゼ活性を測定し、テロメラーゼ活性とアポトーシス調節因子の異常の相互関係を解析中である。
|