1998 Fiscal Year Annual Research Report
学習制御を用いた機能的電気刺激による上肢機能再建の高度化
Project/Area Number |
09877264
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
城倉 英史 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (30280879)
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Keywords | 機能的電気刺激 / 神経回路モデル / 学習制御 / 片マヒ / リハビリテーション |
Research Abstract |
麻痺肢の機能を電気刺激によって再建しようとする機能的電気刺激(以下FES)において、各麻痺筋への刺激出力の決定方法は未だ試行錯誤の段階である。これは多数の筋を制御して目的の動作を構築する際に、筋の相互作用や刺激電流の拡散などの理由によって、単なる筋運動の総和として計算される運動を得ることが困難であることによる。そこで我々はあらかじめ種々の電気刺激を麻痺肢に加え、得られた出力(動作)を記録し、それらの入出力関係を用いて神経回路モデルによる学習処理を行い、様々な運動に対応する電気刺激条件を決定することとした。 方法として、前腕筋群に経皮的埋込電極を刺入留置した片マヒ症例において、前腕の回内外と手関節掌背屈に関わる5筋を制御・解析するモデルを構築した。手関節掌屈および背屈筋に、最大刺激の0・20・40・60・80・100%の強度で刺激し、その際同時に回内筋・回外筋に0・50・100%の強度のバイアス刺激を加え、得られた前腕〜手の運動を磁気角度計によって記録した(合計72試行)。その結果を10個のneuronからなる神経回路モデルに学習させ、誤差が最小となる条件を用いてモデル動作を再建するための5筋の電気刺激出力データを作成した。 回外掌屈→回内掌屈→回外掌屈→回内背屈→回外掌屈という一連の動作をモデル動作とし、神経回路モデルによって作成した刺激データを各筋に加え、得られた動作を記録してモデル動作と比較した。その結果、モデル動作後半の回内背屈の角度が不足した以外は、モデル動作にほぼ一致した動作結果となった。 今後のFESの臨床適用においては、得ようとする再建動作の刺激データを迅速に選択し出力し、さらにfeed-backによって適正化していく作業が不可欠である。本研究はこの作業を行うモデルを示したと考えられ、別記の誌上にて研究成果を共同研究者が発表した。
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Research Products
(1 results)