1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09877275
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉山 一彦 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (30243554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 辰志 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (80304434)
有田 和徳 広島大学, 医学部, 助教授 (90212646)
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Keywords | 中枢神経伝導路 / 再生 / 移植 / 錐体路 / ラット / WGA-HRP / 順行性標識 / 胎仔脳組織 |
Research Abstract |
新生ラットでは脊髄髄節を摘出しても、胎仔脊髄の相同部位を移植することにより、下肢の運動機能が回復する(Kawaguchi et al,Nature367:1994)。しかし、この方法を、脊損治療を想定し成ラットにそのまま応用することは困難である。一旦成熟した中枢神経はOligodendrocyte,CNSmyelinの存在により再生しないものとされている。本年度我々は、限定されてはいるが適切な条件下で、成ラットの損傷錐体路が再生することを見出した。 Wistar系ラット(47〜52日齢)の錐体路を、parapharyngeal routeにより延髄の高位で、顕微鏡下に片側切断した。引き続き切断部に15日齢の胎仔脳組織片を移植した。組織片は、cephalic及びpontine flexureを指標として橋・延髄を摘出し、さらにその腹側1/2を切り出し、損傷部に対する相同部位としたものである。移植後32日〜21ヶ月後、切断側の感覚運動野にWGA-HRPを注入し、錐体路の順行性標識を行い、再生線維の切断部での状態、走行経路、終止を観察した。 9例中5例(56%)で切断部を乗り越える線維が観察された。良好再生例では再生線維は切断部において若干の配列の乱れを生じるものの、延髄切断部を通過し、錐体交叉を形成したのち、後索を下降し、仙髄にまで達した。つまり正常の経路を辿り、正常部位に終末を形成した。このことは同種胎仔の相同部位脳組織の移植により、損傷錐体路の再生が誘導されることを示し、臨床においては、中枢神経伝導路の再建による脳機能の修復という治療概念の理論的根拠となるものである。
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Research Products
(1 results)