1997 Fiscal Year Annual Research Report
膝蓋内側滑膜ヒダ(いわゆるタナ)遺残に関する実験的研究
Project/Area Number |
09877295
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
松崎 交作 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80165802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 俊二 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (60196160)
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Keywords | 膝関節 / 滑膜ヒダ / アポトーシス |
Research Abstract |
膝関節腔および半月板の形成過程において認められるアポトーシスを検討する第一歩として、発生段階にある膝関節組織中でアポトーシスをおこしている細胞の同定をおこなった。動物種はアポトーシス関連の抗体が豊富なことからマウスを用いた。マウスでは胎生15日前後で膝関節腔が形成されるので、この前後の胎齢の胎児の膝関節を対象とした。アポトーシスを検出する方法としてGavrieli,Y.が報告したTUNEL法を用いた。胎生13日では膝関節腔はまだ形成されておらず、間葉系細胞が充填されていた。しかしながら大腿骨、脛骨、半月板の表層は細胞密度がやや高い状態となっていた。このようなstageの組織をTUNEL法で観察すると将来関節腔になるであろう部分に存在する間葉系細胞にTUNEL陽性細胞が認められた。明らかな局在は認められなかった。胎生14日でも膝関節腔はまだ形成されていなかったが将来関節腔が形成される部分に存在する間葉系細胞の細胞密度はさらに低くなっていた。同部のTUNEL陽性細胞の比率は高くなっていた。胎生15日では膝関節腔はその形成を終了していた。膝関節腔の形成にアポトーシスが先行していることが確認されたのであるが、発生のどの段階に初発するのか、また解剖学的にどの部位から開始するのか、さらに半月板の形成にどのような関連を持つのかに関しては今後の課題であると考えている。またマウスでは対象が非常に小さな組織であり解剖学的なオリエンテーションを維持した切片を作成することが困難であったため、動物種を家兎などに変更する必要があると考えている。
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