1998 Fiscal Year Annual Research Report
胎児心磁図を利用した心拍数変動解析による胎児健康状態の評価に関する研究
Project/Area Number |
09877317
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
重光 貞彦 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20235526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 啓二 日立製作所, 中央研究所, 主任研究員
堀米 仁志 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (50241823)
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Keywords | 心磁図 / 胎児心拍数変動 / 周波数解析 / SQUID |
Research Abstract |
【目的】本研究の目的は以下の通りである。 (1) 胎児や母体に非侵襲的であるSQUID磁束計を用いた胎児心磁図計測方法の開発 (2) 各妊娠週数における胎児心磁図波形の解析 (3) 高い時間分解能で計測される心拍間隔による胎児心拍数変動の解析 【研究方法】研究の趣旨に同意した妊婦に対し、磁気シールドルーム内において心磁図を計測した。液体ヘリウムを充填したSQUID(超伝導量子干渉計)センサーを用いて、サンプリング周波数1000Hzで信号を記録した。SQUIDセンサーは検出感度の向上を図るため、今年度改良を加えたものを使用した。 【平成10年度までの成績】研究の趣旨に同意した妊婦のべ170名に対し、磁気シールドルーム内において心磁図を計測した。胎児心磁図は75%の症例でQRS波を確認でき、その90%は胎児信号が母体信号より大きく計測された。SQUIDセンサーの改良により、検出感度の向上が確認できた。QRS波の明瞭な30例に対してR-R間隔を求めFFT法により心拍数変動の周波数解析を行った。症例は妊娠24週から38週であった。 心拍数図上resting phaseを示した症例では、低周波領域(LF:0.04-0.15Hz、交感神経優位)、高周波領域(HF:0.15-0.40Hz、副交感神経優位)とも明らかなピークを認めなかった。一方、active phaseを示した症例では、21例中20例でLF領域にピークがみられ(最小29週、平均34.9週)、また、8例ではHF領域にもパワーがみられた(最小31週、平均35.6週)。パワーの出現パターンはactive phaseとresting phaseで異なっており、自律神経系緊張状態の遷移が示唆された。また、胎児の自律神経系の発達過程には交感神経系と副文感神経系との間に差異があることが推察された。 【今後の予定】胎児心拍数周波数解析の可能な症例をさらに蓄積し、妊娠週数の進行に伴う胎児の自律神経系の発達や胎児仮死などの病的状態との比較検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 安積瑞博、重光貞彦、他: "SQUID磁束計を用いた胎児心磁図計測と心拍数変動周波数解析" 日本産科婦人科学会雑誌. 50・臨時増刊. 431 (1998)
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[Publications] S.Schigemitzu et al.: "Diagnosis of fetal arrhythmia by magnetocardiography as compared with echocardiography" Journal fur fertilitat und reproduktion. Special edition 2. 36 (1998)
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[Publications] 安積瑞博、重光貞彦、他: "心磁図による胎児心拍数変動周波数解析" 日本産科婦人科学会雑誌. 51・臨時増刊. 470 (1999)