1997 Fiscal Year Annual Research Report
網膜芽細胞腫由来細胞に対する分化誘導機構とその臨床応用への可能性の解明
Project/Area Number |
09877333
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷原 秀信 京都大学, 医学研究科, 講師 (60217148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏井 聡 京都大学, 医学研究科, 講師 (50194717)
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Keywords | 未分化網膜細胞 / 分化誘導 / Y79細胞 / カドヘリン / Fitc-オリゴヌクレオチド / HVJ-Liposome / RT-PCR / アンチセンス |
Research Abstract |
我々は、未分化網膜細胞として神経細胞、視細胞、グリア細胞、網膜色素上皮細胞などへの分化能を有すると考えられる、培養網膜芽細胞腫由来細胞(Y-79細胞)を分化誘導できうるかを確かめるための基礎実験として、その分化誘導に関与すると考えられるカドヘリン-4〜-13プロトカドヘリンのin vitroにおける発現の確認と、Y-79細胞の形質転換方法として遺伝子導入法を用いるための技術的確立の段階として、センダウイルス・リポソーム(HVJ-liposome)法を用いたFitcオリゴヌクレオチドの培養細胞核への導入を試みた。 まず、培養Y-79細胞からpoly-A+RNAを抽出したのち、特異的オリゴヌクレオチドプライマーを用いたRT-PCR法にてY-79細胞に特異的なカドヘリン-4〜-13とプロトカドヘリンの発現を同定した。この実験でカドヘリン-8、-11の発現が確認できた。 次に遺伝子導入の前段階実験として、培養人網膜色素上皮細胞をもちいて以下の実験を行った。まず真空下で薄膜に加工したリポソーム膜(phosphatidylcholine:DC-Cholesterol:Cholesterol=5:1:5(molar ratio))と合成Fitcオリゴヌクレオチドおよび不活化センダイウイルスを融合させて作製したHVJ-cationic-liposomeを培養細胞へ加えた。30分間培養後、蛍光顕微鏡下で導入の確認をおこなった。培養細胞中ほぼ100%の細胞核にFitcによる蛍光を確認できた。 以上より、HVJ-liposomeを用いると、Y-79細胞の分化誘導に影響すると考えられるカドヘリン-8、-11に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを遺伝子導入できる可能性を確認できた。これはin vivoにおける強制的遺伝子導入の可能性を示唆していると考えられた。
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Research Products
(1 results)