1997 Fiscal Year Annual Research Report
細胞成長因子を用いた視神経乳頭の血管側副路形成による緑内障治療法の開発
Project/Area Number |
09877335
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤澤 公彦 九州大学, 医学部, 助手 (20238562)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 一郎 九州大学, 医学部, 助手 (30294945)
|
Keywords | 緑内障 / 細胞増殖因子 / DNA組み換え / 新生血管 |
Research Abstract |
これまでの緑内障の治療は、眼圧を下降させることに重点がおかれてきた。しかし日本人に多いとされる正常眼圧緑内障の治療としては不十分である。緑内障の病因として視神経の循環障害が大きな役割を果たしていると考えられる。最近、視神経乳頭の血液循環改善のためにカルシウム拮抗剤の投与が行われ、有効との報告がある。しかし、薬剤による循環改善にはいくつかの問題点がある。効果が永続しないために永久的に内服の必要があること、全身投与であるために効果が弱いまたは安定しない、副作用があるなどである。最近、心筋梗塞にたいする新しい治療法として、塩基性線維芽細胞増殖因子(basic FGF)の冠動脈内投与が試みられている。この治療法は、血管新生を起こす増殖因子を投与することで、心筋を栄養する冠動脈の側副路を形成し、心筋虚血の改善を行う治療法である。われわれは、この方法を応用して視神経乳頭の血液循環を改善するために、視神経乳頭周囲の血管に側副路を作る研究を行う。さらに手法を発展させて、血管新生促進因子の遺伝子を導入するまったく新しい治療法の開発を試みている。 rabbit VEGFのcDNAをRT-PCR法でのcloningを試みたがうまくいかなかったので、rabbitのVEGFのcDNAを組み込んだアデノウイルスvectorの提供を受けた。 家兎の球後にこのウイルスを投与し、まず組織学的な検討を行った。視神経を含む球後組織に管腔形成が認められたが血管腔内には血球は存在しなかった。Heidelberg Retina Flowmeter(HRF)を用いて、視神経乳頭面上における血流速度測定を行ったが血流の改善は認められなかった。球後に存在する新生血管は、組織への側副路としての働きを持つほどには成熟していないと推定された。今後は、新生血管の成熟についてのサイトカインとの組み合わせを検討する必要がある。
|