1997 Fiscal Year Annual Research Report
味蕾の形成・維持・再生に関与する味覚上皮の生理活性物質の解明
Project/Area Number |
09877344
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
栗栖 浩二郎 大阪大学, 歯学部, 教授 (50028346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 純 大阪大学, 歯学部, 助手 (20243248)
脇坂 聡 大阪大学, 歯学部, 助教授 (40158598)
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Keywords | ラット / 味蕾 / 味覚上皮 / 有郭乳頭 / 成長因子 / 発生 / 再生 / 神経損傷 |
Research Abstract |
味蕾の形成、維持、再生にはその支配神経が関与していることが知られている。しかしながら、味蕾の形成や維持に必要な味覚上皮での特異的な生理活性物質の存在については明らかでない。本研究では、ラット味覚上皮および味蕾における生理活性物質の分布や、味蕾の発生および支配神経損傷後の味蕾の再生にともなうそれらの生理活性物質の分布の変化について調べた。 1)味蕾の発生および再生におけるcalbindin D28k(CB)の変化 成獣の有郭乳頭ではCB陽性細胞が認められ、味細胞(type III cell)であることが分かった。またCB陽性線維が味蕾内に進入し、味細胞とシナップスを形成していた。発生過程および再生過程のいずれにおいても、CB陽性細胞は味蕾が形成および再生して約10日後に認められた。このことからCBは味覚伝達や味蕾の維持に関与していることが示唆された。 2)味蕾の発生におけるgrowth-associated protein 43(GAP-43)の変化 有郭乳頭においてはGAP-43陽性神経線維が味蕾内に進入していた。また固有層ではGAP-43はシュワン細胞に認められた。発生過程ではGAP-43は神経線維の分布とほぼ同じ分布を示した。 3)味覚上皮におけるpleiotrophin(PTN)とmidkine(MK)の分布 舌乳頭や口蓋粘膜の味蕾においてPTNとMKのいずれも味蕾細胞の膜に認められた。また、味蕾基底部にこれらの蛋白が強く発現していた。 4)味蕾上皮におけるcarbonic anhydrase isozyme II(CA II)の分布 有郭乳頭、葉状乳頭のいずれにおいてもCA II陽性細胞が認められ、これらは支持細胞であることが分かった。発生過程においてCA IIは味蕾の形成される2〜3日前日の上皮に認められた。 これらより味蕾の形成、維持、再生には多くの生理活性物質が関与していることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Miyawaki et al.: "Calbindin D28k-like immunoreactivity in the developing and regenerating circumvallate papilla of the rat" Cell and Tissue Research. 291. 81-90 (1998)
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[Publications] S.Wakisaka et al.: "Immunohistochemical observation on growth-associated protein 43(GAP-43)in the developing circumvallate papilla of the rat" Cell and Tissue Research. in press. (1998)
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[Publications] S.Wakisaka et al.: "Immunohistochemical observation of pleiotrophin and midkine in the oral epithelium of the rat with special reference to the gustatory epithelium" Cell and Tissue Research. in press. (1998)
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[Publications] H.Daikoku et al.: "Carbonic anhydrase isozyme II in the gustatory epithelium of the rat" Journal of Dental Research. in press. (1998)