1998 Fiscal Year Annual Research Report
口腔領域の組織機能保持細胞株の樹立 -トランスジェニックマウスを用いて-
Project/Area Number |
09877348
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
畠山 節子 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (70048495)
|
Keywords | 歯肉上皮 / SV40T抗原 / トランスジェニックマウス / 培養細胞 / TNF-α |
Research Abstract |
前年度に得られた歯肉粘膜由来の上皮細胞株4株(GE1,GE5,GE6,GE7)についてその細胞学的特性を検討した。1.[^3H]thymidineの取り込みによる増殖率の検討では、播種2日後では細胞数がまきこみ数より減少したが、その後、許容温度の33℃で指数関数的に増殖し始め、対数増殖期で倍加時間はいずれも32-33時間だった。コンフルエントになった後は増殖のカーブが緩やかになった。一方、4日目に非許容温度の39℃に移した群では一過性に増殖の亢進がみられ、その後細胞数は減少した。上皮細胞株の増殖の速い1種についてヌードマウスに移植した結果、腫瘍は形成されずこの細胞は腫瘍原性(tumorigenesity)を持たないことを確かめられた。2.抗プレケラチン抗体と角化型扁平上皮のマーカーであるサイトケラチン10に対する抗体で免疫染色すると、33℃と39℃の両者において、重層した上層の細胞に局在がみられた。超微形態学的には33℃において、GE1細胞は4-5層に重層し細胞同士はデスモゾームで結合していた。基底層から上層に行くにつれて細胞内のトノフィブリルが増え、最上層の細胞内にはkeratohyaline顆粒が形成され、基底層から上層に向かって角化扁平上皮としての細胞分化がみるれた。3.一方、39℃においては、細胞層は大体1-2層からなり、下層にapoptotic bodyがみられた。TUNEL染色では重層した細胞にTUNEL陽性細胞が検出され、39℃でより多く検出された。培養細胞と培養上清を一緒に集めて、アポラダーキット(タカラ)を用いてDNAを抽出しladder formation を検討した結果、39℃で明らかなラダーがみられ、39℃ではapoptosisに基づく細胞死が起こることがをあきらかになった。GE1細胞とGE6細胞には33℃においてかすかにラダーが認められ、さらに重層する部位には少数ではあるがTUNEL陽性細胞も存在したので、33℃においても上層の細胞に軽度にアポトーシスがおこってることが示された。今後はこれらの細胞を用いて炎症時を想定した実験系を考え、炎症の発生と進行に際しての歯肉上皮細胞の役割を検討したい。
|
Research Products
(1 results)