1997 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入法による顎関節症の遺伝子治療の試み
Project/Area Number |
09877351
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
滝川 正春 岡山大学, 歯学部, 教授 (20112063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 徹 岡山大学, 歯学部, 助手 (30243463)
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Keywords | アデノウイルスベクター / 遺伝子導入 / 遺伝子治療 / 関節 / 軟骨 / トランスフォーミング増殖因子 / インスリン様成長因子 / 結合組織成長因子 |
Research Abstract |
1)マーカー遺伝子としてβ-ガラクトシダーゼ遺伝子を組み込んだ非増殖性アデノウイルススベクターをヒト軟骨細胞様細胞株HCS-2/8細胞にin vitroで導入し、X-gal染色にて導入遺伝子が少なくとも3週間持続発現することを確認した。 ついで、トランスフォーミング増殖因子(TGF-β)1遺伝子を同様に導入するとII型コラーゲン、アグリカンコアタンパク質のmRNAの発現が亢進し、stromelysinの発現が低下することが判明した。また、熱ショックタンパク質70遺伝子を導入するとアグリカンコアタンパク質のmRNAの発現が亢進することが明らかとなった。 2)IGF-IおよびIGF-IIがそれぞれIGF-IRおよびIGF-IIRを介して軟骨細胞のアグリカン合成を促進していること、成長ホルモン(GH)が軟骨細胞に存在するGHレセプターを介してIGFの産生を促進しそのIGFがGHの軟骨成長作用を仲介していることを見出し、これらの因子が顎関節症の遺伝子治療の標的遺伝子となる可能性を明らかにした。 3)アンチセンスオリゴヌクレオチドが軟骨細胞の増殖を阻害することから結合組織成長因子(CTGF)は軟骨細胞の増殖因子であるこどが予想されていたが、リコンビナントタンパク質を作製するのに成功し、これを用いてCTGFが軟骨細胞の増殖とアグリカン合成の両方を促進することを見出し、遺伝子治療の標的遺伝子として極めて重要な遺伝子産物であることを明らかにした。 4)マーカー遺伝子としてβ-ガラクトシダーゼ遺伝子を組み込んだ非増殖性アデノウイルスベクターをモルモットの膝関節腔内に注射しX-gal染色にて軟骨および滑膜への同遺伝子の導入効率と発現について調べたところ、滑膜のほとんど全域と一部の変性軟骨表層に遺伝子が導入されていることがわかった。なお、肝や腎等の他の臓器への導入遺伝子の拡散がないことをRT-PCRで確認した。さらに、TGF-β1遺伝子を同様に導入すると関節液中にTGF-β1が2週間にわたって産生されることがわかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Takigawa,M.: "Insulin-Like Growth Factors I and II Are Autocrine Factors in Stimulating Proteoglycan Synthesis,a Marker of Differentiated Chondrocytes,Acting through Their Respective Receptors on a Clonal Human Chondrosarcoma-Derived Chondrocyte Cell Line,HCS-2/8." Endocrinology. 138. 4390-4400 (1997)
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[Publications] Arai,Y.: "Adenovirus vector-mediated gene transduction to chondrocytes: In vitro evaluation of therapeutic efficacy of transforming growth factor-b1 and heat shock protein 70 gene transduction." J.Rheumatol.24. 1987-1995 (1997)
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[Publications] 滝川正春: "基礎からみた整形外科領域のサイトカイン。" 整形・災害外科. 41. 3-12 (1998)
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[Publications] 滝川正春: "内軟骨性骨形成に最も重要な新規成長因子CTGF。" 細胞工学. 17. 357-362 (1998)