骨髄移植後慢性移植片対宿主病(GVHD)の口腔粘膜についての研究-免疫組織化学的検索および電顕所見について

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09877399
• Research Institution: The Nippon Dental University
• Principal Investigator: 武田 幸彦 日本歯科大学, 新潟歯学部, 講師 (10171654)
• Keywords: 慢性移植片対宿主病 / c GVHD / 骨髄移植

Research Abstract

慢性GVHDは骨髄移植後100日以降に、生存者の25%に認められ、骨髄移植後の生命的予後と密接な関係を持つものである。慢性GVHDの口腔症状はその全身型の90%に出現するものといわれているため、現在骨髄移植後慢性GVHDの口腔症状の発現した患者の口腔粘膜の採取精査を施行している(最終的には口腔症状発現をみない患者についても粘膜採取を予定)。
本研究では骨髄移植患者において移植後100日を目処に、1.口腔粘膜の状態の観察、2.病理組織検査、3.免疫組織化学的検査、4.電顕的検索を行うこととしており、現段階では、1〜3について、とくに口腔症状発現の患者についての検討を施行している。結果として1.口腔の状態としては扁平苔癬様、また歯肉炎様あるいは真菌症様所見が見られた。2.その病理組織学的検査(HE染色,PAS染色等にて)にて上皮内、上皮直下および粘膜固有層にびまん性のリンパ球浸潤がみられ、小唾液腺には形質細胞を中心とした中等度の円形細胞浸潤、導管の拡張、腺房の萎縮・変性・消失および小葉間、小葉内の線維化が認められた。3.免疫組織化学的検査(CD4,CD8,HLA-DR,まで施行)では粘膜上皮の固有層、基底細胞より棘細胞の一部に浸潤したCD4,CD8、HLA-DR陽性所見が認められ、小唾液腺では腺房細胞を中心にCD4、CD8、HLA-DR陽性所見が認められた。
現在免疫組織化学的検査にてICAM-1,LFA-1α,LFA-1β等の追加検査を予定しており、それらの結果がでたところで電顕的検索を行う予定である。さらにその結果をもとに口腔症状発現をみない患者の口腔粘膜の状態を観察、比較検討を行う予定である。