1997 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜の有する咬合衝撃吸収能とその加齢変化-特に歯根吸収現象との関連性に着目して-
Project/Area Number |
09877405
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
野田 隆夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10251539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 幸弘 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (50192729)
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Keywords | 咬合力 / 衝撃力 / マルチブラケット装置 |
Research Abstract |
咬合力は、断続的に歯に加わる。しかも、それを動的にみた場合、歯と歯の接触により衝撃力が生じていると捉えられる。そこで今回、マルチブラケット装置を用いた場合の臼歯部に加わる衝撃力が、装置を介して前歯部に伝わるかどうか、測定を行った。 方法としては、マルチブラケット装置を上顎前歯部(両側中切歯、側切歯)と上顎臼歯部(両側犬歯、第1、2小臼歯、第1大臼歯)に接着した。前歯部には超小型ロードセルを角形ワイヤーにて装着した。また、両側臼歯部には、角形ワイヤーを装着した。このワイヤーは両側臼歯部と前歯の前方を通るよう調整した。しかも、前歯部では超小型ロードセルと接するようにし、ワイヤーを伝わる衝撃力を計測した。 計測は、X-Yレコーダーを用い、経時的に行った。すなわち、横軸を時間、縦軸を荷重として計測した。計測条件としては、最大噛み締め時、チューイングガム右噛み時、左噛み時である。その際、臼歯部にロールワッテを噛むことで、咬合を挙上した。これにより上下顎前歯部の接触を断ち、前歯部への咬合力の影響を無くした。 その結果、最大噛み締め時では、臼歯部咬合と同時に前歯部に最大荷重が生じ、その直後、荷重は急激に減少した。しかも、荷重はゼロとはならず一定荷重へと収束した。また、右噛み、左噛みにおいては、荷重は急激な上昇と下降の繰り返しであった。 以上のことより、臼歯部に加わった咬合力は、マルチブラケット装置を介し、前歯部へ衝撃力として関与する事が示唆された。今後この衝撃力の歯根膜での吸収状態と、歯根吸収との連関を検討する予定である。
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