1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09877419
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
土橋 保夫 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (30164099)
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Keywords | 水素結合 / 分子認識 / 不斉識別 / 錯体 / 分子設計 / アミジン誘導体 / 結晶構造 |
Research Abstract |
計画書に従い、脂肪族アミジン誘導体(1)及びその芳香族類縁体(2)とビ-β-ナフトール対掌体との錯体構造を解析し、体掌体選択性を担うジアステレオマー錯体における構成分子間の立体的な相互作用ならびに水素結合の幾何パラメータの差異を明らかにすることを試みた。まず、脂肪族アミジン誘導体(1)の大量合成を行い、次に(1)および(2)とビ-β-ナフトールの各対掌体との混合物について分子間核オーバーハウザー効果の有無を調査した。その結果、水酸基プロトンとアミジン基との間の分子間水素結合に基づく錯体化を支持する幾つかのオーバーハウザー効果が観測された。セレクタ-(1)および(2)はいずれもビ-β-ナフトールに対して(S)-選択性を示すことが既に確認されている。これらのジアステレオマー錯体化における安定系については、セレクター分子と(S)-ビ-β-ナフトールからなる組成1:1の共結晶を調製することに成功した。得られた共結晶のX線解析から、セレクター(1)および(2)はいずれも(S)-ビ-β-ナフトールと二本のN…HO結合による錯体を形成していることが判明した。また錯体の構造特性は先に確認された分子間核オーバーハウザー効果を良く説明するものであり、結晶構造が溶液中でも再現されていることが確認された。一方、不安定系における錯体構造については、分子動力学ならびに分子軌道法計算などの計算機化学の手法によりシミュレーションを行なった。その結果、溶液中のNMRスペクトルに観測されるシフト変化と矛盾しない錯体構造を得ることが出来た。以上より、ジアステレオマー錯体の構造特性ならびに水素結合の幾何パラメータを得ることに成功した。また、酸性度の異なるビフェノール誘導体の合成も併せて行った。
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Research Products
(1 results)