1997 Fiscal Year Annual Research Report
分子進化の概念に基づくドラッグデリバリーシステムの新設計法に関する基礎的研究
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09877424
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
吉川 広之 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (70142586)
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Keywords | 分子進化 / ドラッグデリバリーシステム / 設計法 |
Research Abstract |
本年度の目的はin vitroにおいてリンパ節と親和性が高い分子を、効率的に見いだすダ-ウィン型分子進化の実験系を構築することにある。 分子進化させる対象分子として、RNAを用い、これをダ-ウィン型分子進化のサイクル(増殖→突然変異→淘汰の三つのプロセスから構築される)に組み込んだ。今回のRNAの場合、中間段階でDNAへの変換を組み入れることにより、増殖はRT-PCR法(逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応)、突然変異はRNAポリメラーゼのエラーによって行った。淘汰(選択)の過程はリンパ節への結合の有無ということになる。 先ず初めに、核酸合成機によって出発集団となる20merのRNAのランダマ-を合成した。次にマウスリンパ節を摘出後、培養液中で細切し、さらに細胞を単離した状態のものを用意し、ここへ上記第一世代のネイティブRNA分子集団を添加し、一定時間インキュベート後、リンパ節細胞を遠心、洗浄し非特異的結合したものを取り除き、RNA抽出液によってリンパ節細胞に親和性を示したRNA集団を分離回収した。この1サイクルが終了した時点で何らかの結合性を示したRNA集団はアプライ量の約10^<-7>であった。得られたRNAを再び逆転写、PCR、転写というダ-ウィン型分子進化のサイクルにかけることにより、リンパ節結合能を持ったRNA分子の割合は大きく増大し、10サイクル終了した時点では、約2%のRNA分子が結合能を有していた。これらの結果からダ-ウィン型分子進化サイクルにより、in vitroにおいてリンパ節に特異的に結合するRNA分子を創出することが可能であることが明らかとなった。
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