1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09877441
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
富田 基郎 昭和大学, 薬学部, 教授 (30102370)
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Keywords | PHBP / セリンプロテアーゼ / 血液タンパク質 / カスケード経路 / 炎症 / cDNA |
Research Abstract |
我々が1995年に見出したヒト血液タンパク質PHBPは、X・因子,tPA,uPA,HGFAなどと相同性を示すが、これらはプロテアーゼ・カスケード系の一員として生理活性を示す。よってPHBPもカスケード系の一員と推定されるが、既知の系には活性を示さない。本研究ではPHBPの関与する新しいカスケード経路を実験動物系を用いて発見することを目的とした。 1 マウスPHBPの構造決定:マウスPHBPcDNAの塩基配列から全アミノ酸配列を決定した。アミノ酸レベルでヒトPHBPと78%の一致度であった。特に重要なCys残基は完全に保存されていた。 2 組換え型マウスPHBPの調整:PHBPcDNAをpZeoSV2に組込みCHO細胞株を用いて安定発現細胞株をクローン化した。しかし発現量が1mg/L(培養液)以下であり、動物実験に使用できる収率ではないので、高発現株を得ることを試みている。 3 マウス系における炎症時のPHBPの動態解析:十分量の組換え型PHBPがまだ得られないので、抗体を用いて内因性PHBPの動態を解析した。NとC末部位のペプチドを抗原としてウサギ抗体を調整した。テルペン油、LPS、塩化水銀を投与した炎症マウスでは、血中濃度に有意の変動はなかったが、意外なことに活性化体が血中に出現した。正常マウスではPHBPは、血中では1本鎖のプロ体として存在しているので、この結果は、炎症時にPHBPが活性化されることを示唆している。 以上の結果から、炎症とPHBPには何らかの関連があると思われるので、今後も検討を続けたい。トランスジェニックマウスを作成することも平成10年度には計画している。
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