1999 Fiscal Year Annual Research Report
歯周疾患病原細菌に対して選択的な抗菌活性を示す唾液蛋白に関する研究
Project/Area Number |
09877446
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
内藤 幸雄 鈴鹿工業高等専門学校, 生物応用化学科, 助教授 (10076052)
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Keywords | ラット / シスタチンS / シスタチンスーパーファミリー / 顎下腺 / 歯周病 / システィン蛋白分解酵素 / 生物防御 / システィン蛋白分解酵素阻害タンパク質 |
Research Abstract |
シスタチンSはシスティンプロテアーゼに対する阻害括性を持つ。植物由来のパパインをラットの口腔内に投与すると、このタンパクが誘導される。この事象は外来(食物、細菌)プロテアーゼによる障害(炎症)に対する防御機構の一つであると考えている。一方、歯周病の原因細菌の一種であるPorphyromonas gingivalisの一連の変異株(381,381P,W50,W83,VPI14018,ATCC 33277,NCTC1 1834)に対して選択的かつ殺菌的な抗菌活性を示す。しかし、高度に精製された標品中の微量成分が抗菌活性の本体である可能性を否定できない。シスタチンSまたは微量成分が歯周病の治療薬となりうる可能性を追求することが、本研究の目的である。 交感神経β-受容体作動薬であるイソプロテレノールを連続投与したラット顎下腺唾液を大量に採取した。試料をSephadex G-75カラムによるゲルクロマトグラフィーによってG-I、G-IIとG-IIIに分画した。抗菌活性は画分G-IIとG-IIIに認められた。シスタチンSが分離される画分G-IIはDEAE-sepharose 6Bによるion chromatographyとCM-papain agaroseによるaffinity chromatographyによって精製した。単離したシスタチンSは抗菌活性を示した。そのアミノ酸配列データに基づいて、複数のペプチドを合成し、その抗菌活性を評価した結果、シスタチンSと同程度の活性は認められた。より効果的な誘導体の合成が今後の課題である。G-IIIには複数の低分子量ペプチドが存在した。この物質の抗菌活性はシスタチンSよりも数段高いことが認められた。抗菌活性ペプチドの特定が今後の課題である。
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Research Products
(2 results)