1997 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化症の病態に占めるセロトニン(5HT)_2受容体の役割の解明
Project/Area Number |
09877464
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
津田 信幸 関西医科大学, 医学部, 講師 (00121955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 伯夫 関西医科大学, 医学部, 教授 (80094431)
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Keywords | セロトニン(5HT) / 5HT_2受容体 / 動脈硬化症 / 血小板 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
基礎的検討ではラットを対象にして、EDRF=一酸化窒素(NO)産生能について、5-HT_2受容体遮断効果を検討した。NO産生量の指標としては、従来から報告している高速液体クロマトグラフィー法により測定した硝酸イオン濃度(NO_<3->)を用いた。なお、血中濃度ではヘモグロビンなどのスカベンジャーで緩衝されるので変動が記録出来難いのでNO_<3->の尿中一日排泄量を求めた。その結果、各群8匹での群間比較では、平均値は5-HT_2受容体遮断薬(塩酸サルポグレラート)投与群で高値を示したが変動幅が大きいことから有意差はなかった。なお、血圧にも両群間で差がなかった。 他方、臨床的検討では、間歇性跛行症(IC)患者を対象にし、対照患者には年齢を一致させた跛行を呈さない群を用いた。さらに、IC患者には塩酸サルポグレラート300mg/日投与して約3カ月前後で下記の項目の変化を測定した。測定項目は血圧、体重と一般的な臨床検査のパラメーターに加えてPT、APTT、フィブリノゲン、TAT、PIC、血小板第四因子(PF4)、β-トロンボグロブリン(βTG)、血小板膜表面上のCD62、CD63とvWF、可溶性E-セレクチン、血清硝酸イオン濃度などであった。その結果、血圧、体重、凝固・線溶系項目には変化がなかった。血小板から放出されるPF4、β-TGはあまりに変動が大きかったため有意差が見出せなかった。しかし、血小板の活性化の指標であるCD62、CD63の発現は5-HT_2受容体遮断により有意に低下し、同様に血管内皮細胞の刺激状態を表すvWFも有意に減少した。以上から、血管-血球系において5-HT_2受容体は血管が傷害される過程で役割を演じることを示唆した。
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