1997 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の転倒要因としての立位バランス能力認知に関する研究
Project/Area Number |
09877465
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
星 文彦 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (40165535)
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Keywords | 姿勢応答形式 / 随意的立位重心移動 / ankle strategy / hip strategy / 危険認知 |
Research Abstract |
立位保持のための姿勢応答形式(postural movement strategy)について、随意的立位重心移動範囲と立位保持限界期の下肢筋活動パターンの分析から検討した。健康成人男性5名、女性5名、平均年齢22.6±2.6歳を対象に、随意的立位重心移動(前後方向)を可動限界範囲まで行い、その時の立位保持のための姿勢応答を足圧中心軌跡と表面筋電図から分析した。足圧中心軌跡は重心動揺計(アニマ社)で計測し、筋活動は右側の大腿直筋、ハムストリング、前脛骨筋、ヒラメ筋、母指球筋の5筋を表面筋電図で導出した。足圧中心軌跡と筋活動は重心動揺計を改良し、計測開始パルスを筋電計へ出力し同期させた。足圧中心軌跡の可動範囲は、開眼で足長前後径の約76.8%で、閉眼では可動範囲が拡大する傾向にあった。筋活動パターンは、前方移動では重心移動限界域に達する前にヒラメ筋が活動し、限界域に達した後大腿二頭筋が活動した。後方移動では前脛骨筋が限界域前に活動し、大腿直筋が限界域後に活動した。母指球筋は常時活動傾向にあった。開眼に比べ閉眼で重心可動範囲が大きいのは、視覚情報欠如による危険認知情報が減少することによると思われる。重心移動限界域での筋活動パターンは遠位から近位への応答形式変化が認められた。これはNashnerやShumway-Cookらの言うankle strategyからhip strategyへの切り換えと解釈でき、危険認知による別の姿勢応答形式への移行を示唆するものと思われる。 一方、高齢者10名(平均年齢76.4歳)を対象に同様の分析を行ったが、股関節運動をせず足関節を使って前後へ重心を移動させることが難しく、股関節を屈曲伸展し前後へ重心を移動させようとする傾向が強かった。重心移動範囲も狭い傾向が認められた。しかし、課題の理解が十分とは言えない場合もあり、今後被験者数を増やし検討する必要がある。
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