1997 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性老人の日常生活改善プログラムによる痴呆発生予防の研究
Project/Area Number |
09877469
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川島 和代 金沢大学, 医学部, 講師 (40157855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真田 弘美 金沢大学, 医学部, 助教授 (50143920)
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Keywords | 痴呆性老人 / 日常生活 / 在宅 / 痴呆予防 |
Research Abstract |
今年度は、痴呆発生予防の具体的な活動の手がかりを得る目的で、在宅で暮らす高齢者の知的機能のスクリーニング結果と日々の生活スタイルの実態を調査し、両者の関連について検討した。対象は、金沢市近郊のベッドタウンに在住する65歳以上の高齢者のうち調査会場まで出向くことが出来た116名である。研究の趣旨を伝え同意を得た後、知的機能をN式精神機能検査によりスクリーニングし、基本属性、健康状態、受療状況、生活習慣や嗜好、対人関係、社会活動への参加状況、趣味や関心、生活への思いなどを質問紙にて調査した。分析方法は、N式精神機能検査の判定区分別に基本属性と生活スタイルの調査項目との関連を検討し統計的な処理を行った。結果の概要は、対象は男47名、女69名、平均年齢73.2±5.2歳であった。家族構成は1人暮らしが22名、夫婦のみが34名と半数を占めた。平均在住年数は19.1± 5.7年であった。N式精神機能検査の結果は、高齢になるほど正常群の割合が減少する傾向にあり、女性の方が有意に平均得点の低下がみられた。一方、75歳末満の前期高齢者層にも境界・軽度痴呆群がみられた。また、N式判定区分と基本属性・生活スタイルとの関連は、N式判定区分別に比較して有意差があった項目は「学歴」「聴力の程度」「持病の有無」「異性への関心」であり、知的レベルの高い群ほどこれらの項目の程度や関心の高い者が多くみられた。反対に「老人会への参加」は知的レベルの低い群に参加者の割合が高かった。高血圧・糖尿病など持病を有している者は、全体の8割であった。今回の調査で特徴的なことは、「異性への関心」と知的レベルの高さとの関係である。異性との交流を支える仲間づくりの活動が重要と考えられた。今後、農村部など地域を変えて調査を継続し、次年度は、在宅で暮らす高齢者への痴呆予防のプログラム試案を作成したいと考えている。
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