1998 Fiscal Year Annual Research Report
入院患者のパーソナル・スペースと看護介入との関連性に関する研究
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09877472
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野村 千文 名古屋大学, 医学部, 助手 (90252288)
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Keywords | パーソナル・スペース / 対人距離 / 瞬目反応 / 臥床患者 |
Research Abstract |
人は他人との関係を快適に保つために、無意識のうちにパーソナルスペースを拡大縮小させている。よって、パーソナルスペースは二者間の対人関係を分析する客観的指標となる。特に臨床場面では、看護者が患者との非言語的コミュニケーションにも注意を払い、看護ケアに反映させることが必要である。看護ケアは、身体的援助や治療のため対人関係確立以前に患者に密接に接近する行動が多い。これは、看穫者にとっては患者とのコミュニケーションを深める格好の機会であるともいえる。しかし一方で患者は、パーソナルスペースに了解なく侵入され不快な気持ちになっているとも考えられる。 パーソナル・スペースは、二者間の一方向における直線的距離「対人距離」を多方向に測定することで定量的に把握できる。そこで本研究では、臨床場面で看護者が患者に対してとる対人距離が、患者にとっても快適な距離であるかを検証する。さらに,被接近者の心理的反応を反映する指標である「瞬目反応」について分析し、接近者が位置を調整するための手がかりとなり得るかについての基礎材料を得ることを目的とした。 調査対象は、被接近者に24時間以上ベッド上で臥床している成人男子16名、接近者にケアスタッフ成人女子16名のベアである。 測定条件は、被接近者の姿勢はベッド上臥位と一定とし、接近者の位置を(1)姿勢×方向別{姿勢2(立位・座位)×方向2(前方×側方)を組み合わせた4条件}(2)姿勢×対人距離別{姿勢2(立位・座位)×対人距離3(被接近者の好む距離×近い×遠いと感じる距離)を組み合わせた6条件}について調査した。 その結果、相互作用場面において接近者より被接近者の好む対人距離の方が遠く,差異の程度は二者間の位置関係により変化することが明らかとなった。 また、位置関係に差異が生じたまま対人交渉を続けると、被接近者の瞬目反応が変化することが観察された。これにより、被接近者の瞬目反応は、接近者が位置を調整するための手がかりとなり得る可能性が示唆された。
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