1997 Fiscal Year Annual Research Report
分娩中のストレスを計量的に評価する方法の開発-より安全な分娩介助法設定のために-
Project/Area Number |
09877473
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
足高 善彦 神戸大学, 医学部, 教授 (10030959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 泰子 神戸大学, 医学部, 助手 (60294237)
大久保 功子 神戸大学, 医学部, 講師 (20194102)
高田 昌代 神戸大学, 医学部, 講師 (50273793)
新道 幸恵 神戸大学, 医学部, 教授 (30162796)
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Keywords | 産婦のストレス / 陣痛 / 体表温度 / visual analoguescale / 産痛スコア / 心拍数 |
Research Abstract |
産婦が分娩中に被るストレスを計量的に評価する一指標として、分娩中の体表温度変化を調べた。産婦の鼻尖部、利き手でない側の第4指尖端内側部と額部にφ6mmの体温プレート電極(PTW-100)を装着し、これを1mの中継リ-ドを介してポ-タブル熱電対温度計(PTW-100)に接続した。これらのデーターや、分娩監視装置からケーブルを用いて引き出した外側法による子宮収縮曲線と、イヤープローブ(0380-1000-21)を用いBiox 3740パルスオキシメーターで測定した母体心拍数をLaboratory Recorder RJ 1000-43/FDDに記録させた。データーを記録紙に表示させると共に内部メモリーに保存し、実験終了後にPower Mac(PC8500/120)にデーターを転送して解析用ソフト(MEMORIA-MAC)を用いて解析した。分娩時期を子宮口開大が≦3cmの潜伏期、4〜8cmの加速期、≧9cmの極期、分娩第2期、第3期に分け、夫々の期に産婦自身が感じる陣痛の強さをvisual analogue scale(VAS)に表示させると共に、教室で考案した産婦スコアー(MS)を助産婦に採点した。完全に記録を採り得た6例(初産婦3、経産婦3)の分析では、額部の温度変化が殆ど見られないのに対し、鼻尖部と指尖部における≧0.5℃/分以上の温度低下の回数を子宮収縮回数との割合で見ると、潜伏期:44.5±19.9%、活動期:74.8±16.8%、極期:84.5±13.0%、分娩第2期:76.5±18.2%であり、第3期には2.5±1.5分で安定状態に回復した。つまり、産婦は分娩第2期よりも極期に陣痛をストレスとして強く感じている可能性が示唆された。心拍数変化は分娩第1期よりも第2期の方が大きく(20〜40/分)、陣痛曲線に同調して増加する傾向が伺えた。MSとVASによる評価でも同様の傾向が見られた。今後は症例を重ねて正常分娩におけるこれら3評価法の変動域を決定し、難産などの異常分娩時との比較を進めて行きたい。
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