1997 Fiscal Year Annual Research Report
ソラマメラジカル消去タンパク成分によるカテプシンBと細胞エイジングに関する研究
Project/Area Number |
09878008
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Research Institution | Chukyo Junior College |
Principal Investigator |
岡田 悦政 中京短期大学, 生活学科, 助教授 (60224036)
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Keywords | ソラマメ / ラジカル消去タンパク質 / 細胞エイジング / カテプシンB / 培養細胞 / 抗酸化酵素 |
Research Abstract |
1.長期培養下における実験 (1)継代寿命延長効果の確認-ソラマメラジカル消去タンパク成分(WSP)1.25μg/ml、2.5μg/mlを培養細胞TIG-1のPDL20(若齢細胞)と、PDL50(老齢細胞)へ投与した。結果、最終的な継代寿命への延長効果は見られなかった。 (2)継代時毎の細胞内抗酸化酵素活性、若齢細胞、老齢細胞に1.25μg/ml WSPを投与しながら継代培養を行い、若齢細胞についてはPDL40(28日目)、PDL50(42日目)を、老齢細胞についてはPDL60(20日目)、PDL70(40日目)の細胞内抗酸化酵素活性を測定した。サイトゾール内スーパーオキシドディスムターゼ(Cu,Zn,SOD)及び、グルタチオンペルオキシターゼ(GSH-Px)活性はコントロールに比べて酵素活性の増加は見られなかった。しかし、カタラーゼ活性については、WSP投与により、コントロールに比べ、実験を行った全ての群において酵素活性の上昇(30〜80%)が見られた。 2.カテプシンB活性の測定 (1)細胞分裂速度への影響-カテプシンB活性と細胞増殖速度との関連性は本実験に用いたヒト正常2倍体線維芽細胞(TIG-1)においては見られなかった。 (2)各継代時-若齢細胞、老齢細胞に1.25μg/ml WSPを投与しながら継代培養を行った、若齢細胞群PDL40(28日目)、PDL50(42日目)、老齢細胞群PDL60(20日目)、PDL70(40日目)のカテプシンB活性を測定した。若齢細胞群PDL40(28日目)においてはカテプシンB活性の上昇は見られなかったが、PDL50(42日目)においては30%程の活性上昇が見られた。 (3)老齢細胞期-老齢細胞群PDL60(20日目)、PDL70(40日目)のカテプシンB活性は、WSP投与による酵素活性の上昇は見られなかった。 3.今後の研究展開 WSPは、スーパーオキシド、II_2O_2を消去するラジカルスカベンジャーであるが、今回WSP投与による細胞内でのカタラーゼ活性の上昇が確認できた。過去の研究から細胞内抗酸化酵素活性は、細胞老化に伴い,SOD、GSH Pxは、不変または、増加傾向にある反面、カタラーゼ活性、及びグルタチオンは減少することが報告されている。故に、カタラーゼ活性を上昇させる結果となったWSP投与群は、細胞老化に対して何らかの影響を及ぼす可能性がある。更に、WSPは細胞増殖(WI-38)を促進させることが分かっているが(昨年度の科学研究費報告)、ガン細胞との関連性が報告されているカテプシンB活性は、正常細胞において、増殖との関係を明らかに出来ず、WSP投与によるカテプシンB活性の上昇も見られなかった。以上の結果をもとに、今後の展開は、WSPの細胞内での作用部位および、増殖因子等他の成分との比較検討、更に、細胞寿命の回数券とされるテロメア、及びテロメラーゼ酵素との関連性の検討を行うことにより、WSPの細胞老化、個体老化への有用性および、フリーラジカルと老化との機構を明らかにして行きたい。
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Research Products
(1 results)