1997 Fiscal Year Annual Research Report
簡易な潜在的走能力・適性の評価法および走能力開発プログラム作成に関する研究
Project/Area Number |
09878023
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
鬼塚 純一 福岡大学, 体育学部, 助教授 (30122683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 宗洋 福岡大学, 体育学部, 教授 (30078539)
田中 宏暁 福岡大学, 体育学部, 教授 (00078544)
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Keywords | 走 / クリティカルパワー / 乳酸 / 発育 |
Research Abstract |
Monodたちのクリティカルパワー分析法を利用して個人の潜在的走能力と走能力特性を評価できる方法を開発する目的で本年度は次のような研究を行った。 1.トレッドミルにおいて3種の異なるスピードでの持続時間からクリティカルパワー分析を行い、傾きであるクリティカル速度(Critical velocity,CV)が最大酸素摂取量、乳酸闘値、OBLA、乳酸の定常状態が成立する最大スピード(Maximal lactate steady state;MaxLass)との関連性を検討した。その結果CVはいずれの測度とも高い正の相関関係が認められた。しかもCVとMaxLassの相関係数はOBLAとMaxLass間の相関係数よりも高かった。またCVはほぼMaxLassに近似していた。 2.世界、日本、日本ジュニア混成競技100傑の400mと1500mの記録からCVと切片を求め、他の種目の記録との相関分析を行った。全ての集団で共通してみられた関係は、CVが高いほど1500が速く、切片または切片を理論上無酸素的エネルギー供給に要するとされる40秒で除した測度(以下AnV)とCVの比(AnV/CV)が高いほど100mが速い、または、1500mが遅いということであった。この他に、比較的技術要素が高いと考えられるパワー系の種目で、切片や、AnV/CVと正の相関または、CVと負の相関がみられた。 3.発育期の中学生陸上競技選手男子155名について400,800,1500mのタイムトライアルを行い、その記録からCVと切片の関連から種目別の特性を調べた。AnV/CVは中長距離、短距離、投擲の順に高くなり、種目特性を反映していると推察された。 以上の結果から走記録のクリティカルパワー分析によって得られるパラメーターから走能力特性が予測できる可能性が示唆された。またその方法としてAnV/CVを提唱した。
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