1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09878024
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
野尻 亘 桃山学院大学, 文学部, 教授 (70208346)
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Keywords | 国際物流 / 輸出入 / 海上コンテナ / OD行列 / 貨物流動 / 空間的相互作用 / 輸送費 / 輸送距離 |
Research Abstract |
近年、増加の著しい国際海上コンテナ輸送に関連して、OECD関連の統計資料を中心に以下の分析を実施した。まず品目別OD行列に因子分析を適用し、米国・欧州・日本・アジアNIESなどにおける品目別にみた輸送パターンの特色について明らかにできた。次に世界全体の輸送(取扱)量をもとに、ジニ集中係数を算出し、その各国(各地域)における流動が、アジアNIESの台頭もあって分散の傾向を示していることを明らかにした。 次に、詳細正確な公刊統計が乏しい国際海上コンテナ輸送について、二重制約モデルおよび全制約モデルにより、各地域間相互への輸送量の配分を試みた。その途中結果として、物理的な海上距離よりも運賃に反映される長距離逓減制を反映した距離を代入したところ、より現実にちかい配分推計が得られた。しかし、卓越した発着量を示す米国や巨大ハブ港湾をかかえるアジア諸地域については、過少に見積もりがちである。この対策として、たとえばクルーグマンが提唱するように、輸送に関する規模の経済や自己組織化原理にともなう外部経済(集積)効果をモデルに応用していくことも、一つの方法と考えられる。現在、試行を続けている。 また、国際物流に関する先行研究を展望すると、距離や輸送費といった要因よりも価格や労働費の地域格差・GDPなどの要因が貨物流動の成因として重要であることが主張されている。しかし、世界全体について、このような情報全てを正確に統一的基準で入手することは困難である。とりあえず正確な情報の得られる日本と相手国とのコンテナを利用した輸出入について、重回帰分析や対数回帰モデルを用いて分析することを現在、進行させつつある。以上、2年間の経過について総合し、最終3年次には論文発表および報告書の完成を慎重に進める予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 野尻 亘: "経済地理学と物流研究" 運輸と経済. 57巻4号. 41-50 (1997)
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[Publications] 野尻 亘: "わが国の高速道路における交通流動" 季刊地理学. 48巻2号. 115-136 (1996)
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[Publications] 野尻 亘: "わが国における産業構造の転換と物流の変化" 経済地理学年報. 42巻2号. 23-39 (1996)
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[Publications] 野尻 亘: "地理学における物流研究の展開とその課題-近年のアングロサクソン系諸国の研究を中心として-" 人文地理. 47巻5号. 65-84 (1995)
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[Publications] Nojiri,W.and Ishikawa,Y.: "Physical Distribution Stadies in Japanese Geograghy" Progress in Human Geography. Vol.18 No.1. 40-57 (1994)
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[Publications] 野尻 亘: "全国陸上輸送体系における貨物流動パターン" 経済地理学年報. 39巻2号. 40-58 (1993)
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[Publications] 野尻 亘: "日本の物流-産業構造転換と物流空間-" 古今書院, 251 (1997)