1997 Fiscal Year Annual Research Report
日本の山間盆地における霧日数減少の原因に関する研究
Project/Area Number |
09878027
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
野元 世紀 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (20156235)
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Keywords | 霧日数減少 / 霧形成プロセス / 山間盆地 / 暖候季の霧 / 減反 / 水田の蒸発散 / 大気中の水分量 |
Research Abstract |
今年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1.霧日数データの再整理を行った。その結果、解析した山間盆地のすべての地点で年間霧日数は過去40年間、減少している。また、暖候季にその減少が著しい。寒候季には、近年増加傾向を示す地点(豊岡など)もある。 2.中部日本以西の盆地の気象台の観測日表を用いて、霧の出現と気象要素との対応を調べた。その結果、暖候季においては、水蒸気圧の高まりとともに霧の出現が、寒候季には、夜間冷却量の増大とともに出現することが確認された。これは、両季節で霧の形成プロセスが異なることを示すとともに、何らかの理由により暖候季の大気中の水分量が減少し、それが霧日数減少に結びついていることが想定される。 3.暖候季の局所的大気水分量に影響を与えることが考えられる森林面積と水稲作付け面積の資料を収集し、霧日数の変化との対応を調査した。その結果、森林面積は比較的安定しており、霧日数の変化との間には有意な関係は認められない。一方、水稲作付け面積との間には高い相関がみられる。高山では、水稲作付け面積と暖候季の霧日数の時系列との相関は0.92、上野0.84、日田0.85、人吉0.74などである。また、減反が開始された1969年以降、暖候季の霧日数の減少が著しいことが確認された。これらは水稲作付け面積の変化が、霧日数の変化に大きく影響していることを示している。ただし、気象台の水蒸気圧の時系列変化は、近年わずかに減少する傾向にはあるが、作付け面積の変化とは対応していない。 4.作付け面積の変化に伴う蒸発散量の見積もり、農事暦の変化、盆地流域のどこで水田が減少しているかなどの調査を、土地利用図、ランドサットデータ、フィールドワークなどで進めており、次年度にまとめる。
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