1997 Fiscal Year Annual Research Report
男女学生の認知機能における性差の統計的解析と科学教育への展開
Project/Area Number |
09878033
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
功刀 由紀子 愛知大学, 教養部, 教授 (60167385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
登谷 美穂子 京都大学, 理学研究科, 講師 (10175482)
坂東 昌子 愛知大学, 教養部, 教授 (20025365)
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Keywords | 性差 / 右脳左脳 / 認知機能 / 科学教育法 |
Research Abstract |
表記研究課題に関し、研究計画に基づき研究を実施し、以下の結果を得ることができた。 1.従来、ヒトの左右大脳半球での機能分化として定説化されている特徴は、右脳が視覚的、立体的空間認知を得意とし、全体的ではあるが拡散的な知能を有するのに対し、左脳では言語機能や連続性と順序づけ、系列化を得意とする分析的、特殊的知能を有することである。これらの機能分担に基づき、右脳と左脳を各々特異的に作動させる問題として現在までに作成、報告されている設問のうち、50問からなる右脳左脳別IQテストを用意し、男女大学生に解答させた。男子500人、女子250人に実施し、右脳左脳別IQテスト結果に、男女による性差が認められるか否かを検討した。右脳用、左脳用IQテスト各々の正解率を、男女別に産出したところ、単純な数値比較では男女の性差は認められなかった。 2.1での結果に対し、被検母集団数の違いや、個人のIQ値の相違がテスト成績に大きく影響する要因でもあることから、今後のデータ採集において以下の点を考慮する必要がある。(1)母集団数の男女同数化、(2)入試における偏差値の格差が少ない大学を被検者とする.(3)データへの適切な統計処理法の設定、(4)欧米研究者により作成された問題を数多く採用しているため、言語能力に関する問題には日本人学生に困難な問題もみられ、これが性差の認められない要因とも考えられるので、今後はより日本人に合った問題の開発を試みる。
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