1999 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの歴史認識に果たす歴史年表の役割に関する教科教育学的研究
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09878040
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
佐藤 正幸 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (90126649)
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Keywords | 歴史年表 / 歴史認識 / 社会科教育 / 歴史教育 |
Research Abstract |
(1)本年度は、子どもの発達段階と、 歴史年表を介した紀年認識(Chronological cognition)との相関関係に関して、 (A)区切られた時間の誕生とその認識論的意義、(B)通年紀年法と断代紀年法による年の表記の並存的関係と歴史認識行為との関係、(C)歴史教育と歴史年表の関係、(D)現在、世界で最も洗練された歴史年表を作成し続けているのは、日本だけである。欧米においては、歴史教育が史料の取り扱い方に力点を置いた1950年代以降姿を消し、歴史における年代把握が軽視され始めた経緯、(E)なぜ日本の歴史年表が洗練されているかというと、それは、現在の日本の歴史年表が、古代中国の歴史家司馬遷に始まる年表と、 15世紀以降になって初めて誕生する西洋の年表、の二つのルーツを統合したものだからであること、の5点を解明した。 (2)7月30日から8月12日にかけて、本研究に関わる資料調査及び専門家によるレビューを、スイスのエラノス研究所で行った。(3)8月13日から16日にかけて、ウプサラ大学(スウェーデン)で行われた 「20世紀における歴史学の評価に関する国際会議」で、"The Two Historiographical Cultures in 20th Century Japan"と題して、本研究の成果の一部を研究発表した。 (4)10月29日、エラノス会議(Eranos Round Table) (スイス)で、"Projected Identity:A Historical perspective"と題して、本研究の成果の一部を研究発表した。 (5) 日本学術振興会及び河川環境管理財団の助成により、12月8-10日、山梨大学で「西暦2000年:世界的視野より見た紀年認識」と題する国際研究集会を主催し、海外からの出席者15名を含む40名の参加者で討議を行った。"Coating the Years with Meaningful Names"と題して、本国際学会の基調講演を行い、本研究の成果の一部を発表した。
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[Publications] 佐藤 正幸: "孤立する日本の歴史教育研究"社会科教育年鑑. 1999年. 36-38 (1999)
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[Publications] 佐藤 正幸: "書評 宮原武夫著 『子どもは歴史をどう学ぶか』"社会科教育研究. 80. 48-50 (1999)
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[Publications] 佐藤正幸(共著): "Westliches Geschichtsdenken"Vandenhoeek & Ruprecht, Gottingen. 322 (1999)