1997 Fiscal Year Annual Research Report
児童・生徒の造形的な「みたて」能力の調査と「みたて」の造形教材および指導法の開発
Project/Area Number |
09878045
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
上野 行一 高知大学, 教育学部, 助教授 (40284426)
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Keywords | みたて / 教科書 / 見立て / 一式飾り / つくりもん |
Research Abstract |
平成9年度の研究実績は、以下の三点に集約される。 第一は、「みたて」の造形教材および指導法開発のための基礎研究として、想の形成過程を視点として、現行の小学校図画工作科教科書題材(教材)を分析したことである。現行の教科書は、絵や工作などの表現形態によって題材(教材)が構成されている。「みたて」は想の形成に関わる作用であることから、表現形態からは「みたて」の造形性が捉えにくい。学習過程における「みたて」の関与の有無・強弱、想の形成に関する「みたて」の果たす役割などを明らかにするために、すべての教科書題材(教材)を「みたて」の視点から分析し、再構造化した。なお詳細は、『美術教育学』第19号等に発表済みである。 第二は、児童・生徒の造形的な「みたて」能力の実態に関する予備調査をおこなったことである。探索過程における「みたて」の基礎能力を、1.意味やイメージを見つける力(発見と意味づけ)2.意味やイメージを広げる力(拡張と多様化)3.意味やイメージを重ねる力(分類と選別)と捉え、1.2.3.それぞれについて調査問題を作成し調査をおこなった。結果については、分析中である。 第三は、児童・生徒がおこなう「みたて」の造形と我が国の「みたて」文化との接点について考察するため、各地でおこなわれている「みたて」の造形行事(「みたて」祭り)を現地調査した。「一式飾り」「見立て細工」「つくりもん」など、呼び名はさまざまであるが、各地で「みたて」祭りが継承されていることが判明した。予想外に多くの地方でおこなわれていることが判明したため、調査回数も増え、資料の分析にも時間を費やしたが、地域の独自性と一定の共通項が見出せた。現地調査は、次年度も継続する予定である。
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