1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09878058
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 治 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (80158617)
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Keywords | 方位選択性 / 自己組織化 / 脳の計算モデル / 視覚野 / ランダムウォーク |
Research Abstract |
高等な動物では,大脳皮質の1次視覚野とよばれる部分に,見た線の傾きに応じて反応する一群のニューロンがあると言われており,たとえば猫などでその存在が確認されている.これらのニューロンのそれぞれは,好みの傾きがあり,その傾きの線が与えられたときに強く反応する.これをニューロンの「方位選択性」という.しかも,猫を使った実験では,この方位選択性が,生後数ヵ月の間に,外界の様々なパターンを見ることによって形成されることが示されている.この方位選択性の獲得の原理については,1970年頃から,いくつかの説が提案されてきているが,いまだに決めてとなる説明は得られていない.この「方位選択性の獲得」を理論計算機科学的アプローチで解明することが,本研究の主な目標である. 本年度は,脳の動きを数学的に解析するためのモデル化をまず行ない,Von der Malsburgのモデルを基本にした基本計算モデルを考えた.さらに,その計算モデルの上で,計算機シミュレーションを行ない,方位選択性の出現を確認し,モデルの妥当性を検証した.その上で,代表的な計算原理に対して,方位選択性が生じるのか,そしてもし生じるならばその理由は何か?などを確率過程(ランダムウォーク)の解析手法を応用して,解析した.その結果,安定的に方位選択性を得るには,ニューロン接続においを拘束する条件が必要であることを解析的に示すことができた.
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