1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09878067
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
筧 一彦 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (90262930)
|
Keywords | オンライン文処理 / 自然言語 / 文理解 / 読解過程 / 朗読過程 / 韻律情報 / モ-ラ判断 |
Research Abstract |
本年度は意味性と文法性がどの程度オンライン文処理に影響を与えるかを調べるために「老婆と子供らを急いで連れてきた神父にとうとう会うことになった」のような刺激文を作成し、意味性を制御した場合、主節や従属節の動作主、動作対象がどのように解釈されやすいかについての実験を開始した。刺激文の読みの選好をオフライン実験で調査した。引き続き、このような刺激文の文節を順次被験者のself paceな読みでディスプレイ上に提示したときの読みの時間的進行から文の漸次的処理の変更過程を明らかにする。 また、今年度は、日本語文中にしばしば現われる同一連続母音を含む文の理解過程において、その適切な文節化がどの程度語彙や統語情報に依存しているかについて検討を行った。まず無意味単語内における連続母音のモ-ラ数知覚においては韻律情報(ピッチアクセント)が重要な役割をもつことを明らかにした。ついで文中における2〜6モ-ラの同一母音連続部分を切り出し、そのモ-ラ数知覚を調べた。このとき韻律情報の影響を調べるために同一文であるが、対象とした同一母音連続部分において東京方言ではピッチアクセントがあるが、関西方言においてはピッチアクセントがないような刺激文を用いた。この結果、韻律情報の有無に関係なく、どのモ-ラ数でもほとんど正確な判定ができないことが明らかになった。しかし、文頭からの情報と韻律情報を与えることによりほぼ正確な判断ができることが分かった。このことから、連続音声を聴取する場合、その適切な分節化において、語法や統語の知識が重要な役割をはたしていることが示された。この結果を論文化した(研究発表参照)。今後、文頭の意味性等を制御した刺激文を用いることによってオンライン文処理過程の検討をさらに進める。
|
Research Products
(1 results)