1997 Fiscal Year Annual Research Report
汽水湖の酸化還元変動水域における亜酸化窒素の生成に関する研究
Project/Area Number |
09878100
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
清家 泰 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (30243421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 稔 島根大学, 総合理工学部, 教授 (30032650)
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Keywords | 亜酸化窒素 / 温室効果ガス / 成層圏オゾン / 亜硝酸イオン / 硝化 / 脱窒 / 汽水湖 / 酸化還元変動水域 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、温室効果ガスとしてのみならず成層圏オゾンの消長にも係わる重要物質として注目される亜酸化窒素の水圏(特に汽水域)における生成機構を明らかにすることにあるが、本年度は、同じ細菌群がその生成に関与すると考えられる亜硝酸イオンの蓄積メカニズムの解明に力点をおき、亜酸化窒素については、まず現存量の把握を第一として調査研究を遂行した。 「亜硝酸イオン蓄積のメカニズム」・・・・・汽水湖中海は、浅い湖であるにもかかわらず塩分躍層により成層化が発達している。そのため躍層以深では、5月頃から溶存酸素の減少が始まり、夏期には貧酸素水塊が形成されるとともにアンモニウムイオンの増加が起こる。通常は酸素消費がさらに進み無酸素化するため、アンモニウムイオンの継続的な増加蓄積が見られる。しかし、中海では、潮汐により豊富な酸素を含有する日本海海水が底層に進入することによってある程度酸素が供給されるため、その影響を受ける水域では、硝化反応が起こり亜硝酸イオンが増加するものと考えられた。亜硝酸イオンから硝酸イオンへの反応が進まないのは、溶存酸素濃度が低いことに加え、中海が比較的浅い水域であるため光阻害を受けやすく、亜硝酸イオンの酸化が抑制されるためであることが、フィールド実験および室内実験により明らかとなった。 「亜酸化窒素の現存量について」・・・・・亜酸化窒素を定量するため、パルス放電型ECD(非放射線型電子捕獲検出器-VALCO社製PDECD)を8月に購入し、9月から実サンプルの分析に供した。底層水の亜酸化窒素は10月から1月にかけて観測され、最大値は約40μgNΛであった。一方、湖底泥中では、数十mgNΛもの値が観測された。未だ9月から3月までのデータにすぎず考察できる段階にないが、亜酸化窒素は湖底泥表層部でかなり生成されていることが分かった。亜酸化窒素の生成が主として硝化、脱窒のどちらに由来するものなのかについては現段階では不明であるが、今後、調査研究を継続することにより明らかにでるものと考えている。
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