1998 Fiscal Year Annual Research Report
湖底堆積物のMg/K含量比とCa/Mg含量比はダム湖の藻類生産を反映するか
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09878101
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
香川 尚徳 愛媛大学, 農学部, 教授 (40003777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣谷 博史 愛媛大学, 農学部, 助教授 (70218858)
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Keywords | ダム湖 / 湖底堆積物 / マグネシウム / 藻類生産 / クロロフィル / 経年的変動 |
Research Abstract |
愛媛県下の石手川ダム湖を調査対象として,湖水中の藻類生産と湖底堆積物の質的変化との関係を検討した。 1. ダムサイトから0.26km上流の流木止(水深約40m)を主調査地点として,1978年1月以降毎月1度行ってきた水質と懸濁物の調査に,1997年8月から湖底堆積物のコアサンプルの採取と分析を加えた。また,水深10mと30mとにセディメントトラップを設置して,月に1回以上容器を交換して,内容物を採取し,堆積状況を検討した。 2. 主調査地点における21年間の水位と水深の調査記録から,この地点では年平均約17cmの厚さで堆積していること,従って,1984年以降毎年2月と8月にエクマンバージ採泥器で採取・風乾・保存してきた湖底堆積物試料(約9cm厚)30点が,それぞれ約6ヶ月間の堆積物に相当することが分かった。 3. トラップ内の堆積物は秋から冬に多かった。しかし,コアサンプルの土層断面,湖水の成層・循環,密度流の深さ等を検討すると,この時期,出水時の密度流が湖底の土砂を掘削しつつ,再堆積することが分かった。春から夏の成層期には,出水時にもトラップに土砂堆積が少なく,湖底に生物遺体が沈降・堆積するとみられた。 4. 3月から8月までの表水層のクロロフィルa濃度(藻類量の指標)の平均を8月の湖底堆積物中の各種物質含量と15年間の試料で比較したところ,Mg含量と有意な正の相関が認められた。表水層のクロロフィルa濃度と懸濁態のMg濃度との間に正の関係があること,懸濁物の沈降に際して,MgがCaやPと違って水中に溶出しないことがこの原因として認められた。9月から2月についても同様の検討をしたが,有意な結果は得られなかった。 5.以上より,春から夏の湖水中の藻類生産を堆積物中のMg含量が反映することが認められたが,標記研究課題中の仮説は崩れた。原因は,仮説設定に際し,堆積物中の炭素含量が藻類生産に正比例すると考えた点にあった。
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Research Products
(1 results)